天然ゴム加工場「スミラバー・タイ・イースタン・コーポレーション(SETC)」では、ゴムの木から採れた樹液を加工し、TSR特殊グレードの天然ゴムを製造している。
同社は、現地のTEG社(タイ・イースタン・グループ)との合弁事業として、11年に操業を開始。
生産量は月産3500トン。このうち61%をタイ工場向けに、35%を日本国内工場向けに、4%をブラジル工場向けに納入している。同社で加工した天然ゴムは、住友ゴムグループ全体の天然ゴム使用量の9%を占める。16年までには、現生産設備で生産能力を月産3800トンまで上げる計画だ。
操業間もない2011年当時は、何も処理をしない通常ゴム(STR20)と粘度管理を実施したゴム(STR20CV)だけの製造だったが、13年からは粘度管理にゴミ分を管理したゴム(STR10プレミアム)の製造を開始、将来的には「プレミアムに100%製造を切り替える」(稲本浩典SETC社長)方針。
ちなみに、原材料に特殊処理を実施した完全に不純物を除去したゴム(UPNR)は、ラテックスを加工するため、同工場では製造していない。
工場周辺は農業地域のため、工場外への排水を完全に0にするなど、環境への取組みも重視している。
同工場では「天然ゴムの開発を主な目的としており、量産は目的としていない」(同)。
天然ゴムの解析、研究は神戸本社やタイの研究開発センターが行い、SETCではサンプルの提供などを行っている。同社ではゴムの加工技術を磨き、分子レベルでの研究を重ね、品種改良を含めた高性能な天然ゴム開発を目指している。