帝人 カーボンナノチューブ繊維で人造繊維技術賞

2014年10月17日

ゴムタイムス社

 帝人グループは10月15日、パラ系アラミド繊維「トワロン」を生産・販売しているテイジン・アラミドおよびライス大学(米国テキサス州ヒューストン市)の研究者が、「ポール・シュラック人造繊維技術賞」を受賞したと発表した。

 同賞は、ポール・シュラック財団が大学や研究機関での研究を活性化させるため、1971年より毎年、繊維分野において優秀な研究成果をあげた若手研究者1名に賞金を、企業が参画する共同学術研究に名誉賞を授与しているもの。

 同社と同大学は、金属と同等の熱伝導性および電気伝導性を持ち、織物のようなしなやかさやと強さを有するカーボンナノチューブ繊維の共同開発に取り組み、2013年初頭にはその成果を大手科学誌「サイエンス」の誌上で発表した。この研究成果が評価され、研究を指揮するテイジン・アラミドのマルチン・オットー博士とライス大学のマッテオ・パスカリ博士に同賞が授与された。

 同社のマルチン・オットー博士は、「心臓に疾患を持つ患者の心筋にカーボンナノチューブ繊維をつなぐと、心臓に電気パルスを送ることが可能になる。また、データケーブルに使われている銅をカーボンナノチューブ繊維に置き換えることにより、人工衛星や航空機、高級車などの軽量化と高強度化を同時に実現することができる。このように同繊維は、様々な産業において革新のきっかけをもたらす」とコメントした。

 同繊維は、今後、航空宇宙、ヘルスケア、自動車、ウェアラブル端末など、幅広い用途での展開が期待されている。

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