東洋ゴム 新社長に山本卓司専務

2014年10月19日

ゴムタイムス社

 信木氏は会長に就任

 東洋ゴム工業の信木明社長は10月16日、午後5時30分から大阪のザ・リッツ・カールトン大阪(2階「ザ・ガーデンルーム」)で緊急記者会見を開き、健康上の理由から信木明代表取締役社長(59)が代表権のある代表取締役会長に就き、代表取締役専務執行役員タイヤ事業本部長の山本卓司氏(57)が代表取締役社長に内定したと発表した。11月1日付で正式就任する。

 グループの成長拡大に伴う経営体制の強化のため、新しく久世哲也常務を代表取締役に据え、3人の代表取締役で布陣を固め、経営体制の強化を図る。

 緊急記者会見で信木氏は、「社長職を退任するのは、個人的な健康上の理由であり、病気の治療を行い、しばらく療養する必要が生じたため」と述べた。経営トップは公人であり、また、この期間中、「社長として果たすべき業務、経営判断について支障や停滞をきたすことは、避けられなければならない」とし、確固たる判断から8月初旬に決断、8月末に山本卓司専務に実情を明かしたという。

 次期社長に就任する山本専務は、昭和55年に入社以来、タイヤ商品、技術開発に携わってきた。信木社長も「技術出身独特の切れ味を備えていることやチームで戦うための戦力と戦略の双方を整えることが出来るバランス、センスを持っている」とし、リーダーとしての資質に富み、これからさらに成長軌道へ乗せていくにふさわしい人物と評価し、バトンタッチする。

 これを受けてあいさつに立った山本専務は「当社は技術力を源泉として生きてきた企業」とし、そのうえで喫緊の経営課題として、先輩が早くから築いてきた海外の北米事業について「生産力と販売力の規模を拡大していくことこそが当社の存在感を高めてくれる」と抱負を述べた。

 タイヤ商品・市場に精通

 【山本卓司氏の略歴】
 昭和32年1月20日生まれ、57歳。大阪府大阪市出身。55年3月に大阪大学基礎工学部卒業。同年4月同社入社、一貫してタイヤ技術畑を歩く。25年3月タイヤ事業部長、26年7月代表取締役専務執行役員タイヤ事業本部長に就任。

 近年では、タイヤのゴム材料開発をナノレベルで制御する新材料基盤技術を開発、これをもとに、日本のタイヤラべリング制度における最高峰の性能グレード「トリプルa」を短期間のうちに取得するなど、同社製タイヤの飛躍的な技術進歩に貢献してきた。座右の銘は「努力は報われる」。趣味はサッカーと映画鑑賞という。サッカーは現在も月に一度はプレーしているという大のサッカーフアン。サッカーで経営の舵取りを例えるとの問いに、「サッカーのディフェンスは理詰めでいけばレベルが上がるが、攻撃は個々のプレイヤーの技術を磨がかなければならない。これからは攻める部分と守る分野が必要となる。理詰めでキチット守れて、個人の能力を高め、攻撃力を上げるゲームができたらいい」と経営になぞらえた。

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