ランクセスは10月17日、連続繊維で強化された熱可塑性コンポジットシート「テペックス」の製造プロセス革新に成功したと発表した。
同コンポジットシートは、同社グループ傘下のボンドラミネーツ社が製造している。このプロセス革新によって、ほぼあらゆる角度での配向が可能な連続繊維層を実現した大型半仕上げのコンポジット製品の連続生産が可能になった。
従来品では、繊維束の配向方向、または繊維束に対して垂直方向(繊維束に対して0度か90度)への配置に限られていた。改良の結果、配向の異なる連続繊維のコンポジットが可能となり、それによって対象部品における力伝達に一層的確に対応できるようになる。さらに、同製品を使用した擬等方性構造も可能となった。
多軸配向の「テペックス」半仕上げ製品は、完全含浸され強化されている。極端な角度まで形成することができる一方で、この含浸による繊維のずれはほとんど生じない。ボンドラミネーツ社は、半仕上げ製品を成形やオーバーモルド、または、圧縮用に予め設計された輪郭に切断する。特別なネスティング用プログラムを使用することで、ほぼすべての場合において廃棄物を最小限に抑えられる。このため、廃棄物を発生することなく、耐荷重性を備えた複雑な部品を形成することができる。
連続繊維の高度な配向性により、各繊維層はほぼ単方向の特性を発揮する。ポリアミド6と連続ガラス繊維でつくられているため、各層の繊維方向における靱性は37GPa、剛性は780MPaとなる。
多軸配向の半仕上げ製品は、特に自動車向けの高い剛性を備えた構造部品や準構造部品を製造するための材料となる。同社は、フロントエンドキャリア、ペダル、座席部品、電気・電子モジュール用キャリア、エンジンルームのプロテクティブプレート、エアバッグカバー、車体下部の保護に使用される部品の開発に取り組んでいる。ねじり荷重と曲げ荷重の複合ニーズに対応できるカスタマイズ構造の部品も検討している。