ユニチカは10月23日、バイオマス由来原料を用いた世界最高レベルの性能を持つ耐熱ポリアミド樹脂「ゼコット」を、年産500トンに増産すると発表した。
2012年7月から少量産設備(100トン/年)にて製造・求評活動を行ってきたが、宇治事業所に中量産設備(500トン/年)が完成し稼働を開始した。
同社は、樹脂事業の成長戦略として、新素材・新用途展開によるグローバルニッチ戦略を推進しているが、今回の増産により、同製品の本格展開を加速するとしている。
同製品は、熱可塑性耐熱ポリアミドの中において、耐熱性、結晶性、低吸水性、耐薬品性、耐摩耗性、電気特性、高品質でいずれをとっても世界最高レベルの性能を有するため、各種電気・電子部品、自動車用部品、耐熱フィルム、耐熱繊維等への幅広い用途展開が期待できる。特に、自動車用途において、従来金属が用いられていた部材の代替材料として、優れた高温下での強度・耐久性や摺動性などを生かして用途開発が進んでいる。また、鉛フリーはんだに耐える高耐熱で低吸水であること、成形性の良さなども大きな特長。さらに、原料の約50%は、非可食で再生可能なバイオマス由来成分を用いており、環境に配慮した素材でもある。これまでの求評活動で、自動車部品の他、LEDリフレクタ、SMTコネクタをはじめ、電気・電子部品、耐久・高強度部材などの分野でも高い評価を得ており、採用に向けて進捗している。
同製品は、コア技術であるポリアミド重合技術をベースとして、独自技術を融合させた新規製造プロセスを開発し、500トン規模での量産技術にめどをつけ、他社競合品に対し、品質およびコスト面でも優位な事業展開を見込めると判断した。同社は今回の増産により、本格的に製造販売を開始するとともに、各用途で本格採用への取り組みが加速されるものと考えており、2015年以降の年産5000トン規模へのスケールアップを目指している。