日本ゴム工業会幹事会詳報(資材関係)
〈原油・ナフサ価格の推移〉
原油相場は7月以降、欧州経済の低迷、中国など新興国の成長率鈍化による需要低迷、供給面では地政学リスクの後退、米国でのシェールオイル増産等を背景に下落を示し、10月の月間平均値(20日現在)では90ドルを割る水準となっている。
ニューヨーク先物相場(WTI)の1~10月平均は98・3ドル/バレルで、13年平均を0・3ドル上回っている。ドバイ原油の1~10月平均は、13年平均を3ドル下回る102・5ドル/バレルだった。
ナフサ価格は8月以降、原油価格の下落、ナフサの供給量が増加傾向にある一方で、中国等での石化製品の需要低迷から下落している。
シンガポールナフサの1~10月平均は100・5ドル/バレルで、13年平均より0・5ドル低かった。
国産ナフサ価格は、7~9月は7万1000円前後と前期比で僅かに上昇の見込みだが、第4四半期は下落傾向が続き、6万5000円前後まで下落するとの見方が有力。
国産ナフサ価格の1~10月平均(推定値)は7万700円/klで、13年平均に比べ5400円の増加。東京オープンスペック価格も1~10月平均は6万6400円で、13年平均を3400円上回った。
ブタジエンのアジア市況は、7月に1504ドルとピークを記録したが、以降は中国での合成ゴム需要の停滞を背景に低迷し、10月は1241ドルまで下落。7月比では17・5%減だが、円換算では円安進行を反映し同12・4%減にとどまった。
また、ナフサとの価格差は、7月の541ドルから、10月は467ドルと縮小した。
〈天然ゴムの東京相場・市中取引相場、生ゴム営業倉庫在庫の推移〉
天然ゴムの需給状況は中国の需要低迷を背景に大きな変化はなく引き続き下落傾向にあり、180円前後となっているが、タイの供給制限策から足元の価格は上昇を示している。
東京相場当限・東京相場先限・市中取引相場の1~10月平均は、それぞれ206・8円/kg、210・5円/kg、215・8円/kgで、いずれも13年平均を56・2円、62・4円、56・3円下回った。
生ゴム営業倉庫在庫は、9月末現在で1万3910t(前月末比2060t減)となり、5月の2万2174tをピークに4ヵ月連続で減少している。
〈主要原料の価格動向〉
日銀企業物価指数によると、合成ゴムは、今年前半はナフサ価格に連れて上昇したが、8月に前月比2%減の下落となった。今後一時的な上昇の可能性はあるが、年後半以降は、ナフサ価格の下落、ブタジエン市況の低迷が続けば下落の予想が有力。天然ゴムも、昨年12月をピークに下落している。
カーボンブラックは13年7月に続き、本年4月に119・8(前年同月比7・1%増)と上昇している。
年間平均値では、A重油、都市ガス、電力などのエネルギー指数、ナフサ、スチレンモノマー、ブタン・ブチレンといった基礎原料の指数が上昇しており、カーボンブラックも上昇傾向を示している。
合成ゴムは11年をピークに下落傾向を示しており、14年は13年比で横ばい、天然ゴムは12年、14年と大きく下落している。