横浜ゴムは10月28日、同社の航空機構造用プリプレグが、独立行政法人国立科学博物館(東京都台東区)が認定する2014年度の「重要科学技術史資料(愛称:未来技術遺産)」に登録されたと発表した。
登録番号は00154号。登録証および記念楯授与式が9月、国立科学博物館で行われた。
プリプレグはガラス繊維や炭素繊維に樹脂を含浸させたシートで、これを重ね合わせて所定の形状とし、加熱硬化して繊維強化プラスチック(FRP)を作る。FRPは軽量かつ高強度という特長を持ち、航空機軽量化のための重要技術として1960年代から需要が伸びている。今回の「未来技術遺産」の審査では、横浜ゴムが1978年に開発したプリプレグが米国ボーイング社の厳しい品質管理の要求をクリアし、国産材料として初めて航空機の構造用材料として認定されたことが評価され、同製品の生産拠点である平塚製造所(神奈川県平塚市)に現存する認定当時のプリプレグサンプルが登録遺産となった。
同社のプリプレグは、ボーイング社へ機体部品を納入する日本の機体メーカーでFRP部品化された後、ボーイング社へ引き渡されている。これまでに777型機のフェアリング、737型機のランディングギヤ用ドア、747型機のフラップ、757型機のリーディングエッジなどの構造用材料として採用されてきた。
未来技術遺産は、国立科学博物館が「科学技術の発達史上重要な成果を示し、次世代に継承していく上で重要な意義を持つ科学技術史資料」および「国民生活、経済、社会、文化の在り方に顕著な影響を与えた科学技術史資料」の保存と活用を図るために2008年度から開始された制度。2014年度は49件の未来技術遺産が登録され、これまでに合計184件が登録されている。