タイヤ材料の未来①
タイヤ材料の未来を考えるにあたり、タイヤの歴史を振り返ってみます。
木製の車輪の外周に鉄の輪をはめた車輪が出現したのが約2000年前、外周に加硫ゴムを装着したソリッドタイヤが開発されたのはそれから1900年後の19世紀後半です。
鉄製の車輪は、滑りやすく、特に坂道の上り下りの際には苦労したと思うのですが、1900年もの長期にわたり使われてきたことを考えるとタイヤの革新を迫るほどの強い不満はなかったのでしょう。
クルマが発明され、性能が向上するにつれて操縦安定性、耐久性、及び乗り心地の点で従来の鉄輪に対する不満が急激に増大し、これが、ゴム製タイヤが発明される引き金となったと考えられます。
なぜなら、ゴムという新素材そのものは、ゴム製のタイヤが発明される300年以上前から人々に知られていました。ヨーロッパに天然ゴムをもたらしたといわれるコロンブスの第2回目の航海が1493年で、加硫ゴム製ソリッドタイヤが出現する400年近く前です。
強いニーズが無かったために、長い間、ゴムは消しゴムとしての用途に留まっていたと考えられます。従って、ゴムにスポットライトをあてたタイヤ材料の革新は、