住友理工は相次ぐ海外企業の買収と新興国での工場建設により、グローバル供給体制を構築したが、前田裕久常務執行役員の目には、世界市場の現状はあまり芳しく映っていないようだ。
まず南米については、最大の市場であるブラジルで「自動車購入の補助金が終了したこともあって、車の販売が2割ぐらい減っている。大統領選では、経済政策にあまり熱心でない現職が再選されたため、現状が当分続くのではないか」との見方を示した。
タイに関しては「政争がくすぶっているものの、国内はとりあえず底を打ったようだ。ただし輸出は相変わらず悪く、インドやフィリピン、豪州などが良くないあおりで、あまりぱっとした話はない」。欧州は「債務問題が尾を引いており、日差しが見えてきたという噂が立っては消えるという状況」。中国についても「不動産問題で減速している中で、自動車の販売台数は悪くないものの、日系のカーメーカーは苦戦している」とのこと。
4~9月ではアジアも好調を維持しているものの、基本的には「米国におんぶにだっこのような形になって」おり、米国の増収増益でマイナスをカバーしながら、状況が変わるのを待つという。