横浜ゴムは、リトレッドタイヤの市場シェアを2020年までに20%にまで引き上げる方針を明らかにした。
欧米と比較して国内のトラック・バス用タイヤにおけるリトレッドタイヤ比率は依然低く、市場が拡大する可能性は高い。
同社では課題となっている台タイヤの回収率向上を図り、生産台数の増加を目指すとともに、国内市場でシェア確保を図っていく。
ヨコハマタイヤリトレッドの田中孝一社長は、「リトレッド市場はここ数年で様変わりしている。注目を浴びる時代に入ったと実感している」と市場拡大に期待を寄せている。
リトレッドタイヤは、摩耗して使い終わったタイヤの表面に再度トレッドゴムを張り替えた再生タイヤ。価格は新品タイヤの6~7割程。
新品タイヤの約3割の原材料で製造が可能で、廃タイヤ削減などの観点から高い環境保全効果が期待できる。
近年、燃料コストの増加や環境貢献を背景に、リトレッドタイヤ需要は増加している。「数年前は価格でのメリットで購入する顧客が多かったが、今は環境対応、環境にいかに貢献するかという点で、運送会社、バス会社から関心を持たれている」と言い、昨今ではリトレッドタイヤの供給が新品タイヤの購入条件にもなってきているという。
ヨコハマタイヤリトレッドは、今年1月にヨコハマタイヤ東日本リトレッドと山陽リトレッドが統合し設立された横浜ゴム100%子会社のリトレッドタイヤの事業会社。
広島県尾道市を本社とし、北海道苫小牧市、埼玉県入間郡、愛知県みよし市の全国4ヶ所に事業所を置いている。
生産方式は、パターンのないトレッドゴムを貼り付けたタイヤを金型で加硫するリモールド方式を採用している。リモールド方式は、金型の初期投資やある程度の工場面積が必要になるものの、パターン付きのトレッドゴムを貼り付けるプレキュア方式と比較して、仕上がり品質が良く、多品種生産に適するなどの特徴がある。
また、新製品と同様のトレッドデザインを使用できることもメリットとなっている。「以前は新製品のトレッドデザインを使用できるまで2年程要したが、現在はリトレッド需要が発生する半年から1年の間で、新製品のトレッドデザインを使用できるよう早期対応化を目指している」とし、競争力強化に繋げたい考えだ。
同社のリトレッドタイヤの生産能力は、尾道工場で年産5万本、全拠点合計で年産15万本。20年までには生産能力を倍増する