総出荷は3四半期ぶりに増加
日本ゴム工業会がこのほどまとめた2014年7~9月計の合成ゴム品種別出荷実績(CR、IIR除く)によると、この間の合成ゴム出荷は輸出出荷の増加により、総出荷が3四半期ぶりに前年同期実績を上回ったことで、1~9月累計の総出荷が111万4344t、同0・1%増とわずかながらだが水面に浮上し、回復の兆しが見えてきた。
14年の四半期ごとの推移を見ると、1~3月の総出荷は同0・5%減の39万514t、4~6月は同1・3%減の34万9266tとなり、4~6月は1~3月に比べて10・6%減少した。消費増税前の駆け込み需要により国内出荷が前年同期比8・3%増となった1~3月に比べ、国内出荷の伸びが減速したことが響いた。国内ゴム工業向けでは1~3月は同6・1%増の18万9787t、4~6月は同4・2%減の16万4610tとなり、4~6月は1~3月に比べ13・3%減少。用途別でも、4~6月は1~3月対比で自動車タ・チが15・8%減、履物が9・4%減、工業用品が7・0%減になるなど、消費増税前の駆け込み需要の反動を示す形となった。 これに対し、7~9月は国内出荷のゴム工業向けが同1・2%増、為替円安の進行により輸出出荷が同6・2%増と急回復したことで総出荷は37万4564t、同2・1%増となった。
この結果、1~9月累計では国内向け出荷はゴム工業向けが同1・1%増の53万522t、紙加工用やプラスチック向けなどが堅調なゴム工業外向けは同3・4%増の17万7257tとなり、国内総出荷は1・7%増の70万7827tとなった。ゴム工業向けでは、自動車タ・チが同0・2%増、履物が同3・0%増、自動車用ゴム製品が中心となる工業用品が同2・4%増となっている。
一方、輸出出荷は7~9月ではSBR(同3・8%増)、BR(同17・6%増)、EPDM(同6・5%増),SBRラテックス(同51%増)と大きく回復したが、1~9月累計の輸出出荷は上期までの海外市場における供給過剰や市況軟化による需要不振が響き、40万6517t、同2・6%減となった。
品種別実績をみると、国内出荷では汎用のSBR,BR、NBRともに1~2%台の微増、自動車用ゴム部品を中心とするEPDMは同5%増、ゴム、ウレタン、シリコーンゴムなどを含むその他は同8・9%増となっており、出荷が落ち込んだのはIRはじめCR、IIR(化学工業統計含め算出)。
また、合成ゴム工業会がまとめた14年1~9月計の合成ゴム生産実績によると、生産量は全体で120万9496t、前年同期比3・2%減となった。
品種別ではSBRは48万9564t、同3・1%減、BRは21万5153t、同2・0%減となっており、 タイヤ向けを中心とする汎用合成ゴムは輸出出荷の落ち込みに加え、一部工場での定修もあり、生産が抑えられた。自動車用ゴム部品を中心とするNBRは7万9292t、同9・0%減となっており、輸出の鈍化に加え、一部工場での定修が重なった。CRは10万527t、同0・1%増の横ばい。EPTは17万3572t、同7・5%増と唯一堅調な伸びをみせているが、輸出が落ち込んでいるものの、国内では工業用ゴム製品向けはじめ熱可塑性エラストマーの改質材としての需要が拡大している。