住友理工 燃料電池スタック向けシール部材を新開発

2014年12月16日

ゴムタイムス社

 住友理工は12月16日、燃料電池自動車(以下、FCV)に搭載される燃料電池(同、FC)スタック向けのゴム製シール部材「セル用ガスケット」を開発したと発表した。

 同製品は、トヨタ自動車が12月15日に発売したFCV「MIRAI」に採用されている。同社は、水素をエネルギー源とし、走行中に水しか出さない究極のエコカー「MIRAI」のさらなる普及と発展に向けて貢献していくとしている。

 今回同社が開発したセル用ガスケットは、燃料電池内で水素と酸素の流路を保ち、生成された水の排水性を高めるシール部材で、これを用いたセルの開発により、FCスタックの高性能化や小型・軽量化を実現した。同社独自の配合技術を駆使し、低温から高温までの幅広い温度範囲で長期シール性を実現した高機能ゴムと、自動車用防振ゴムなどの製品開発を通じて培った精密加工技術を融合、最適なシール部材の製品開発に成功し、FCの長期信頼性を確保している。

 同社は2000年代前半にFC用製品の開発に着手。2008年にはトヨタ自動車と「セル用ガスケット」の原点となる「シール部材」の共同開発を開始した。燃料電池製造の最終工程で、汎用ゴムを使用しながら自己接着性を持たせたガスケットを用いることで各種発電部材の一体加工を実現し、安定した発電が可能なセルの生産を支えている。このセルを370枚重ねたFCスタックが、「MIRAI」の動力源となっている。

 同社は顧客の要望に応え、社会課題を解決し、生活にあらたな価値を提供する製品の開発を今後も進め、人と環境にやさしいクルマ社会の実現に尽力していく方針。

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