自動車部品工業の2014年度上半期経営動向 売上高7%増加

2014年12月31日

ゴムタイムス社

 日本自動車部品工業会は12月12日、2014年度上半期(4~9月)の会員企業の経営動向を発表した。

 対象となったのは、会員444社のうち、自動車部品の売上高比率が50%以上の上場企業で、前年同期との比較が可能な自動車部品専門の82社。

 各社の連結決算短信(連結決算を行っていない企業は単独決算)により、集計・分析した。

 売上高は12兆3647億円で、前年同期比6・9%増。国内市場における消費税増税等の減少要因があったものの、好調な海外事業と為替の影響により、前年同期に比べて7947億円の増収となった。

 上半期の時点で売上高が12兆円を超えたのは、調査対象企業82社としての比較が可能な08年度以降、初めて。75社が増収となった。

 営業利益は6997億円で同1・0%増、経常利益は7808億円で同0・8%増、当期純利益は4110億円で同5・6%減と、当期純利益を除いて前年実績より微増となった。

 営業利益が増益となったのは49社、経常利益は44社、当期純利益は44社が増益となった。

 また、増収・営業増益となったのは46社(56・1%)、増収・経常増益は42社(51・2%)に上っている。

 各社の営業増益要因としては「好調な海外需要」や「為替換算の影響」「生産合理化などの収益改善策の効果」が、減益要因としては「完成車メーカーの海外生産移管による減収の影響」「海外拠点での生産能力拡大投資による償却費の負担増」「新興国における政治的・社会的混乱の影響」「原材料価格の上昇」「労務費の増加」「エネルギーコストの増加」が挙げられる。

 収益構造を見ると、売上原価率・販管費の上昇により利益率が減少した。また、営業外収益は減少、特別損失計上額が増加した。

 決算短信に地域別セグメント情報を記載している42社(売上高ベースで全体の69・8%)の参考データでは、国内は売上横ばい減益、北中南米は自動車販売の好調と実稼働率の向上により売上・利益が増加している。

 欧州は自動車市場の 回復 によ り売上・ 利益 が回 復している。 アジ アについても 増収増益となった。しかし、利益率の面では2ケタを切る状態が、2011年度第1四半期以降、14四半期間続いている。

 これはアジア地域全般での労務費の上昇、競争の激化に加え、政治的・社会的混乱による生産・販売台数の低迷が影響していると考えられる。ただし中長期的な需要の拡大が見込まれるため、日系企業にとってアジア市場はなお重要な収益源であり続けている。

 借入金依存率は14・5%で、同0・3ポイント低下した。ただし、過去10年間で最も低かった2005年度は12.5%であり、それとの比較では依然として2.0ポイント高い水準にある。

 設備投資動向のうち、有形固定資産取得のための支出は4884億円で同2・4%増、減価償却費は3352億円で同12・1%増加している。

 14年度通期の業績見通しについては、売上高は24兆9200億円で同3・4%増、営業利益は1兆5091億円で同1・9%増、経常利益は1兆6045億円で同1・8%減、当期純利益は8870億円で同5・2%減。

 駆け込み需要の反動の長期化や海外景気の下振れリスク、労務費・エネルギーコストの上昇などの影響が織り込まれているためだと考えられる。

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