横浜ゴム 平塚で生物多様性パネルディスカッション

2015年01月06日

ゴムタイムス社

 横浜ゴムは12月26日、同社の平塚製造所(神奈川県平塚市)が地域住民や従業員家族との交流イベントである「第6回Think Eco ひらつか2014」の開催に合わせ、所内のゲストハウスで生物多様性をテーマとしたパネルディスカッションを11月15日に行ったと発表した。

 行政や大学、市民団体などの有識者と同社従業員がパネラーとなり、「平塚市金目川流域の生物多様性保全活動」について様々な角度からの情報提供、活動報告、問題提起が行われたほか、約55名の参加者との間で質疑応答も交わされた。

 同社は2010年7月に「生物多様性ガイドライン」を制定。以来、国内外の生産事業所周辺で生物多様性保全活動に取り組んでいる。平塚製造所では2013年から活動を開始し、平塚市内を流れる金目川水系の保全に向けて河川に棲む魚や水生昆虫などの水生生物、訪れる鳥、川原の植生のモニタリングを行っている。今回のパネルディスカッションは同製造所の取り組みをさらに強化、発展させるため、活動内容を報告すると共に外部有識者や地域住民から様々な意見を聞くために開催した。

 パネラーは、斎藤俊一氏(神奈川県環境農政局水・緑部自然環境保全課副課長)、柳川三郎氏(金目川水系流域ネットワーク代表世話人)、石綿進一氏(神奈川工科大学客員教授)および鍋島和彦(横浜ゴム平塚製造所長代理)で、コーディネーターは北澤哲弥氏(株式会社エコロジーパス取締役、江戸川大学非常勤講師)が行った。

 同社が2013年に実施したモニタリングで、水生動物や鳥類は健全なことが判明した。しかし川原の植生は外来植物が繁茂し在来植物が衰退していたため、2014年には同製造所従業員が外来植物の抜根を行った。

 神奈川県下の河川では、水系流域の市町村での公共下水道の整備により水質の化学的な汚染によって生物多様性がおびやかされる状況は少なくなっている一方で、水温の上昇傾向が見られる。水温上昇は水生生物の生態系に影響を与えるため、水温上昇を抑える施策や啓発活動が行政・企業・市民それぞれに求められている。

 生物多様性の認知度はまだまだ低いのが現状。神奈川県では2016年から5ヵ年計画で地域戦略を策定する方針。同戦略では、生物多様性の認知度を高めると共に生物調査などを実施していく。

 さらに、活動を一歩踏み出すために親しみやすさや楽しさのある活動を実施する、行政が成功事例を集めて発信していくことでモチベーションを上げ企業を支援する、といった提案が出された。

 パネルディスカッションの最後には、同製造所は新規の参加者が多いため調査活動を工夫ししっかりと続けていくこと、企業が主体となって市民の協力を得ながらステップアップすること、来年以降も同イベントの場を活用して活動を発表し、行政・地域の皆様との情報交換、意見交換を通してビジョンを共有していくことが確認された。

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