JSRは1月19日、3Dプリンター用フィラメント材料として、独自のポリマー技術を活かして開発した「ファブリアル」シリーズを上市すると発表した。
製品の第1弾として、現在市場から強く求められているポリ乳酸(PLA)系で強靭さを高めた材料ファブリアルPシリーズの販売を開始する。今後、柔軟な材料から強度の高い材料までなど、様々な用途の課題に応えられるように特徴的なラインアップを順次揃えていく。
フィラメントとは、3Dプリンターの方式の中で熱溶解積層方式に使用する樹脂材料。3次元的に製造する方法としては、熱溶解積層、光造形、粉末固着、粉末焼結、インクジェット、さらには切削加工などのさまざまな方式がある。その中で、熱溶解積層方式の3Dプリンターは工業用途から個人用途まで幅広く展開されており、この方式に使用される材料であるフィラメントは3Dプリンティングの可能性を左右するものとして注目を集めている。
第1弾として販売するファブリアルPシリーズは、従来のPLA系やABS系の材料に比較して、靱性を高く設計したフィラメント材料。現在、熱溶解積層方式の市場ではPLA系やABS系の材料が主に使われているが、強度などフィラメント材料の性質における制約が用途を制限しているのが現状。使用するフィラメント材料の強度が低い、加工工程でフィラメントが折れて長時間安定的に成形できない、完成した成形品がもろい、といった課題が出てくる。同シリーズは先に挙げたような課題を解決して、実用製品に必要な強度の成形品を制作することが可能。同社は、2015年1月28日から東京ビッグサイトで開催される「3Dプリンティング2015」で、同製品を紹介する。
実用製品として十分耐えられる強度の造形物の制作が可能となると、従来は強度不足により形状・デザイン・組み付けなどを確認する試作品の制作に制限されていた3Dプリンターを、実製品の生産に使用することが可能となる。また、従来の射出成形では作れなかったような複雑なデザインをもつ樹脂製品を簡便に生産できるようになる。これに伴い、市場ニーズの細分化に適合した個別化製品を効率的に生産することが可能となり、3Dプリンターの可能性が大きく広がるとしている。
さらに同社は今後、社会の課題をとらえた特徴的な材料を「ファブリアル」シリーズとして順次提供し、従来品のフィラメントでは困難だった樹脂成形のニーズに応えていく。
今後も、企業理念「マテリアルズ イノベーション マテリアルを通じて価値を創造し、人間社会(人・社会・環境)に貢献します。」に立脚して、ユーザーにさらなる付加価値を提供していく方針。