信越化学工業の2015年3月期第3四半期連結決算は、売上高は9295億3000万円で前年同期比6・6%増、営業利益は1400億3600万円で同3・8%増、経常利益は1525億3700万円で同7・9%増、四半期純利益は1000億2200万円で同8・1%増となった。
塩ビ・化成品事業では、米国シンテック社は、塩化ビニルの原料価格上昇や、か性ソーダの市況軟化の影響を受けたが、住宅市場に回復が見られた米国内の需要を取り込むとともに、世界中の顧客への積極的な販売に努めたことから、収益は底堅く推移した。オランダのシンエツPVC社は出荷が順調。国内事業は、輸出は回復基調にあるものの、国内住宅関連需要の不振や、原料価格の変動の影響もあり、厳しい状況が続いた。結果、同セグメントの売上高は、3375億5300万円で同4・3%増となり、営業利益は401億3800万円で同16・8%減。
シリコーンは、国内では電子機器向けで回復が見られたことに加え、自動車や化粧品向けも総じて順調に推移した。また、海外でも、欧米をはじめ、東南アジア、中国向けの機能製品や汎用製品が好調。なお、同第3四半期に中国のシリコーン製造販売子会社「信越有机硅(南通)有限公司」において、固定資産の減損損失46億7900万円を計上致した。結果、同セグメントの売上高は1304億1900万円で同12・3%増となり、営業利益は231億7600万円で同0・5%増となった。
機能性化学品事業では、セルロース誘導体は、国内では医薬用製品が堅調に推移したものの、建材用製品は、消費税率引上げ後の住宅着工の反動減が顕著となり、下半期に入り出荷が減少した。ドイツのSEタイローズ社は、価格競争激化の影響を受けた。豪州シムコア社は、金属珪素の市況回復もあり堅調に推移。また、合成性フェロモンは、大口の出荷があったことにより好調となった。結果、同セグメントの売上高は832億4500万円で同7・9%増となり、営業利益は110億2200万円で同12・6%増となった。
半導体シリコンは、メモリデバイス向けが好調に推移したことに加え、スマートフォン向けをはじめ、幅広い分野で旺盛な半導体デバイス需要が続いたことから、出荷は総じて堅調。結果、同セグメントの売上高は1688億5万円で同4・5%増となり、営業利益は、261億5800万円で同31・2%増。
電子・機能材料事業では、希土類磁石は、ハイブリッド車をはじめとする自動車向けが好調で、大容量のハードディスクドライブ向けも堅調。フォトレジスト製品は、半導体デバイス微細化の進展もあり、ArFレジストや多層レジスト材料などが伸長した。また、LED用パッケージ材料も底堅く推移。光ファイバー用プリフォームなどの合成石英製品は、顧客の在庫調整や市況低迷の影響を受けた。結果、同セグメントの売上高は、1368億7800万円で同7・6%増となり、営業利益は356億5300万円で同14・9%増となった。
その他関連事業では、信越ポリマー社の自動車用入力デバイスや半導体ウエハー関連容器が堅調に推移した。また、信越エンジニアリング社のエンジニアリング事業も底堅く推移。結果、同セグメントの売上高は、725億8200万円で同9・3%増となり、営業利益は、38億9700万円で同37・6%増となった。
通期の連結業績予想は、売上高が1兆1800億円で前期比1・2%増、営業利益が1830億円で同5・3%増、経常利益が1900億円で同5・2%増、純利益が1200億円で同5・6%増を見込んでいる。