合成ゴム生産が高水準で回復している。日本ゴム工業会がまとめた2010年年間の合成ゴム品種別出荷実績によると、輸出を含めた出荷量合計は170万1291㌧、前年比19・4%増とほぼ2割伸長となった。リーマンショック以前の97年実績対比では若干のマイナスながら、ほぼ同水準まで回復している。
合成ゴムの需要増大の背景には自動車のエコカー減税や新興国向けタイヤの輸出増、自動車用ゴム部品の需要回復などがあげられる。
用途別の出荷実績をみると、主力の自動車タイヤ・チューブ向けはソリッド、ラテックス合計で55万5711㌧、前年比19・6%増と2割の伸びを確保した。履物向けは1万5888㌧、同3・1%増と小幅ながら前年実績を上回り、自動車部品向けが中心の工業用品は14万2378㌧、同26・6%増、その他は7万6104㌧、同12・5%増となった。
ゴム工業向け以外の国内出荷は紙加工用や接着剤用途、繊維処理、建築資材、塗料・顔料向けなどで、全体では27万4968㌧、同10・6%増と1割の伸びとなった。
これにより、国内向け出荷はソリッドが84万3368㌧、ラテックスが22万1681㌧で、全体で106万5049㌧、同17・2%増となった。
一方、輸出出荷はソリッドが58万5957㌧、ラテックスは5万285㌧で、全体では63万6242㌧、同23・2%増となった。
品種別動向は、タイヤ向け中心のSBRソリッドが前年比22・5%増の54万1920㌧、BR(ソリッド)は同12・2%増の30万5412㌧となった。輸出が中心のCR(ソリッド)は、旺盛な海外需要の増大に加え、CRメーカーの生産能力増強が本稼動に入ったことで、前年比34・7%増の12万2012㌧となり、フル生産が続いている。
自動車用ゴム部品や高機能ゴム製品の需要回復が顕著となったNBR(ソリッド)は9万3494㌧、同35・8%増、需要増に供給が追いつかないEPDM(ソリッド)は、各社のデボトルネッキングでの能力増で対応した結果、前年比19・7%増の17万1946㌧とフル生産が続いており、一部には供給不足が生じた。なお、EPDMはグローバルに需要増が見込まれ、今後の供給不足が懸念材料になっている。