JSR S‐SBRの新プラント タイに合弁で年産5~10万㌧

2011年03月07日

ゴムタイムス社

 JSR㈱は、3月1日、タイのBangkok Synthetics CO;Ltd.(「BST」)とタイに合弁会社を設立し、S―SBRの製造プラントを新設することに合意する旨のLOIを締結した。合弁会社はJSRが51%、BSTが49%を出資して設立し、新設プラントは、5万㌧から10万㌧/年の生産能力を確保し、13年6月に稼動を開始する予定。

 S―SBRは、主にタイヤや工業用品用途に使用される高機能合成ゴム。特に近年は、環境意識の高まりやタイヤの低燃費性能の格付け制度の普及を背景に、エコタイヤと呼ばれる低燃費タイヤ向けへの需要が世界的に急拡大している。
 同社は、現在主力工場である四日市工場において、2011年11月の完成を目指し、2万5千㌧/年の生産能力増強を実施中であり、完成後は6万㌧/年となる予定。
 また、欧州においても2009年からStyron Europe.GmbH(当時Dow Europe.GmbH)との間で3万㌧/年の引取り権契約に基づいた生産を開始している。
 現在同社の国内及び欧州工場はフル稼動の状況が続いており、今後も拡大が見込まれるS―SBR需要増に対応するため、とりわけタイは、大手タイヤメーカーの工場があり国内市場が大きいこと、アジア域内への輸出拠点としての利便性も高いことから、今回アジアの供給拠点としてタイにおいてBSTと共同で新たに製造プラントを建設することに基本合意した。
 JSR及びBSTがそれぞれの強みを持ち寄り、特に同社から低燃費特性に優れたS―SBRの技術ライセンスを供与し、BSTからは主原料を供給することにより、高性能のS―SBRを安定的に供給する体制を構築する。また、BSTは子会社であるBST Elastomers Co;Ltd.において合成ゴムの製造プラントを持ち、高品質な合成ゴムの生産に実績がある。
 JSRはエラストマー事業の中でも、タイヤの低燃費化を通じて環境への貢献が多大なSーSBRを成長事業と位置付けており、引き続き、今後の世界的な需要の拡大に対応して、タイムリーにグローバルで最適な供給体制の構築を図り、S―SBR事業の拡大を積極的に進めていく方針。
 〈新設予定プラントの概要〉
 工場所在地=タイ国ラヨン県マプタプット地区
 生産品目=S―SBR(溶液重合スチレンブタジエンゴム)
 生産能力=年産5万㌧~10万㌧
 稼動予定=2013年6月
国内4社が
新プラント
 S―SBRについては、旭化成ケミカルズ、住友化学、日本ゼオンがそれぞれ新プラントの建設計画を発表しており、今回のJSRの新プラント建設発表でS―SBRの国内合成ゴムメーカー全社が出揃った。旭化成ケミカルズはシンガポールのジュロン島内テンブス地区に第1期年産5万㌧(第2期として更に年産5万㌧を計画)のプラントを建設中で第1期は2013年6月に稼働予定。住友化学もシンガポールジュロン島内メルバウ地区で年産4万㌧の製造プラントを新設し、13年第4四半期から商業運転を開始する。日本ゼオンもシンガポールジュロン島内に 第1期年産3~4万㌧、第2期年産3~4万㌧の製造プラントで 13年7月に稼働予定。

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