タイヤ向け汎用合成ゴムの海外市況の軟化が続いている。
基本的には、原材料価格の下落、海外のタイヤ向け汎用合成ゴムの供給過剰が要因となっている。 アジア、ヨーロッパでの景気後退に伴うタイヤ需要減、過去の高い価格による原材料で生産された在庫品の調整、需要増を見越しての合成ゴム各社の増産投資により製品がだぶついているためだ。また、ブタジエン価格の低下、天然ゴム市況の下落にも引きずられている。
その天然ゴムの当限(1月限)は190円台後半からゆっくりと下落しながら推移し、終盤にやや戻して188円をつけ、26日の納会を迎えた。
一方、合成ゴムの主原料である原油価格は、14年7月の月間平均価格が1バレルあたり102・99ドルだったものが、12月には59・1ドルまで急落。ナフサ輸入価格は14年12月分の貿易統計(速報)によると、4ヵ月連続で下落し、10~12月期の国産ナフサは6万6000円となり、前四半期比で4900円の大幅な下落となった。
合成ゴム各社は合成ゴムの価格を主原料であるナフサ価格と連動し決定している。合成ゴム各社の第3四半期決算ではJSRがブタジエンおよびエラストマーの世界的な需給緩和によりスプレッドが悪化した。日本ゼオンは「昨年10月末の高いコストの在庫が残っているが、フォーミュラーで価格を決定しているので、基本的には損は出ない。しかし、期ずれがあり、仕入れ在庫の対処が微妙に影響してくる」と、収益悪化を懸念する。
同社では第4四半期の前提条件として、為替を1ドル120円、国産ナフサ4万8000円/kl、アジア・ブタジエン800㌦/tと想定。
果たして原油価格の行方は?。石油輸出国機構(OPEC)が2月9日発表した石油市場の月次報告では、米国のシエールオイルの生産鈍化が見込まれるとし、OPEC産原油の需要が今年は増加するとの見通しを示した。