【TPE特集】自動車用途を狙いに新グレード

2015年02月16日

ゴムタイムス社

自動車用途を狙いに新グレード 
耐油、耐熱性の特殊ゴム代替で

 ゴム同様の弾性体でありながら通常のプラスチックと同様に成形加工(押出成形、射出成形等)ができることから加硫ゴムの一部を代替、プラスチックと加硫ゴムの隙間を補う材料として、年々需要が拡大している熱可塑性エラストマー(TPE)。エラストマー各社の現況を追った。

 TPEの主要製品にはオレフィン系(TPO)、スチレン系(TPS)、ポリウレタン系(TPU)があり、市場規模も大きく、自動車用用途を中心に、ベルト、ホース、工業用分野で需要のすそ野を広げている。
 このほか、軟質PVCとは別に、ゴムライクな弾性体材料として、特殊PVCをべースとした塩ビ系(TPVC)、柔軟性が高く、消音性、低温特性 に優れるゴムとエンプラの中間的な性質を有するポリアミド系(PAE、TPAE)、硬質樹脂との熱融着性に優れ、耐摩耗性にも優れるポリエステル系(TPEE)、アクリルゴムとポリプロピレン、ポリエステルを主成分として構成されるアクリル系エラストマーなどが市場に投入されている。これらは、いずれもオレフィン、スチレン、ウレタン系の熱可塑性エラストマーの代替に加え、加硫ゴム、塩ビ代替としてホース・チューブ、スポーツ用途、射出成型向け、コーティング向けなどでの用途展開を図っている。

 脱PVCの加速から各自動車メーカーへの自動車内外装材に採用が進んできたオレフィン系(TPO)については、汎用ゴムでの代替用途から特殊ゴム領域への用途展開を進めており、コンパウンドメーカーの自動車用分野での耐熱性、耐油性向上を図った新グレード開発も活発化している。
 スチレン系(TPS)にはSBS、SIS、SEBS、SEPSなどの種類があり、SBSはポリマー改質剤、アスファルト舗装材改質向けが多く、SISは粘着剤を中心に、SEBSはエンジニアリング樹脂改質剤、相溶化剤に、自動車用部品、玩具、雑貨、医療用向けでのコンパウンド需要も根強い。また、オレフィン系、ウレタン系との競合素材との技術開発競争も激化している。ブロックポリマー型で生産するメーカーは、クレイトンポリマージャパン、旭化成ケミカルズ、クラレのスチレンメーカーであり、ブレンド型メーカーは日本ゼオン、JSR、三菱化学、リケンテクノス、アロン化成などが市場参入している。

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