昭和電工は2月12日、熱硬化性成形材料(BMC)事業の強化を図るため、中国広東省珠海市に同社グループとして中国で2番目となる生産拠点を新設することを決定した。
同新会社は台湾の合成樹脂材料メーカーである長興材料工業股份有限公司との合弁によるもの。社名(仮)は昭和長興(珠海)有限公司、所在地は中国広東省珠海市。設立は2015年6月(予定)、操業開始は2016年12月(予定)。事業内容は熱硬化性成形材料(BMC)の製造。資本金は7000万人民元(日本円:11億9000万円)、株主は昭和電工が70%、長興材料工業股份有限公司が30%。従業員は50人。
BMCは、不飽和ポリエステル樹脂を主成分に、ガラス繊維などを混練した熱硬化性成形樹脂のことで、自動車向けランプリフレクターやエンジンカバー、家電・精密部品の封止材などの用途で使用される。また最近では電気自動車、ハイブリッド車向けのモーター封止材としての用途での拡大が見込まれている。BMCの成形時には耐熱性、耐水性、電気特性のほか、高い寸法精度が求められるが、同社グループはBMCの製造販売にとどまらず、顧客の要望にあわせたBMC成形品の設計、カスタマイズにまで強みを発揮している。
同社グループのBMC事業は、日本、上海、タイの3か所に生産拠点を有しているが、中国におけるBMCの販売は、2007年以降年平均15%の高い伸びを示しており、上海拠点はフル操業の状況が続いている。今後さらなる拡大が予想される中国市場において、新たに生産拠点を設立することで、同地域における供給体制を強化する。
同社グループでは、現在推進中の中期経営計画「PEGASUS(ペガサス)」フェーズⅡにおいて、機能性化学品事業を成長事業の一つに位置づけている。2015年までのフェーズⅡ期間中に、アジア圏における高分子事業の展開を積極的に進め、事業拡大を推進していく方針。