JSRは2月24日、リチウムイオンキャパシタ(LIC)の事業会社JMエナジーが、高エネルギー密度型ラミネートセル「アルティモ CLE2300S1B」を上市すると発表した。
同製品のサイズは180㎜x126㎜x5・2㎜(端子は除く)。容量は2300F。重量エネルギー密度は28Wh/kg。
重量エネルギー密度を鉛電池並みに向上させることにより、従来から提供しているアルティモラミネートセルと同等の薄さでありながら2倍の容量を実現した。リチウムイオンキャパシタとしては業界最高レベルのエネルギー密度を有する。
これにより、医療機器、バックアップ電源、無人搬送装置、ソーラー蓄電、エナジーハーベスティングなど軽量化・省スペース化が求められる用途の旺盛な市場ニーズに応えていく。
同製品は、2月25日から東京ビッグサイトで開催される国際二次電池展で紹介する。
LICは蓄電デバイスの一種である大容量キャパシタで、高出力密度、高エネルギー密度、高電圧といった特長を有する。特に同シリーズは、超低抵抗タイプで二次電池と比較して充放電時のエネルギーロスが圧倒的に小さく、高い信頼性・安全性と長期耐久性を兼ね備え、しかも電気二重層キャパシタ(EDLC)と同等以上である100万回以上の充放電が可能。急速充放電、エネルギー回生、ピークアシスト、電力平準化などの用途に採用事例が増えている。風力発電・太陽光発電などの再生可能エネルギー関連機器、瞬時電圧低下補償装置などの各種産業機器、医療機器、無人搬送装置に加え、ハイブリッドショベルカーといった大型建機やハイブリッドバスなど移動体用途にも採用が始まっている。
LICはそれ自体がEDLCよりも高いエネルギー密度を有し、設置スペースの削減・軽量化に貢献しているが、新製品はさらに省スペース化・軽量化を可能にするもの。
JMエナジーは2008年11月に世界初の大容量LICの量産設備を稼働させ、同シリーズとして軽量薄型のラミネートセル(生産能力30万セル/年)と堅牢性に優れた扁平角缶セル(生産能力12万セル/年)、更にはセルを連結させて高電圧で使用するためのモジュールソリューションを、グローバルに提供している。低電圧・据置型の用途から高電圧・移動体用途に至る幅広い分野で採用が進み、需要量の急速な拡大が見込まれることから、供給体制の強化、コスト面での市場優位性確保を目的として、山梨にある本社工場で生産能力年間300万セルの扁平角缶セル量産工場建設を進めており、今夏生産開始を予定している。
同社グループでは、JMエナジーを中核として、欧米の事業拠点との連携もはかり、省電力、エネルギー有効活用のキーデバイスである同製品を、幅広い応用分野に提供して行く方針。