積水化学工業高機能プラスチックスカンパニーでは、2月25日、グラフェンライクカーボンを配合した強化樹脂シートとポリオレフィンフォームからなる積層シート「高剛性軽量樹脂シート」を開発したと発表した。
金属では到達できない軽量性と高剛性の両立といった特長を活かし、今後は、住インフラ材や車輌・輸送などの分野において幅広い用途開拓を進めていくとしている。
開発の背景について、同社では、グループビジョンにおいて「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」のフロンティアを開拓することを掲げ、高機能プラスチックスカンパニーでは、住インフラ材、車輌・輸送、エレクトロニクスおよびライフサイエンスといった戦略分野向けにさまざまなプラスチック製品を提供している。その中でも環境貢献が期待される軽量新材料の開発に取り組んできたという。
同製品は、グラフェンライクカーボンを配合した強化樹脂シートを外層とし、ポリオレフィンフォームを中間層とする3層積層シート。
グラフェンとは、学術的には、1原子の厚さのsp2結合炭素原子からなる単分子シートのことで、黒鉛の剥離によって生成される。同社では、グラフェンライクカーボン(グラフェンが複数枚積層されたナノレベルの凝集シート)をマトリクス樹脂に均一分散させることによって、高剛性で、耐衝撃性に優れたナノコンポジットを開発した。
このような積層構造を有するため、軽量性と高剛性が両立でき、鋼板の1/3の重量で、同一の剛性を発現させることができる。
また、同製品は熱可塑性樹脂を主成分としているため、炭素繊維強化樹脂やガラス繊維強化樹脂と異なり、通常のプラスチックスと同様に、プレス成形などの熱成形が容易で、意匠性にも優れている。
開発品の代表的なスペック例としては、剛性を重視したタイプA、軽量性を重視したタイプBのグレードがある。用途に応じた幅広い品質設計が可能で、耐衝撃性も樹脂材料としては高い水準である。
今後の展開については、建築・土木資材などの住インフラ材や、船舶、航空機、鉄道などの車輌・輸送など、さまざまな分野における用途展開を目指し、幅広く事業パートナーを募って連携を進め、事業化に取り組むという。また、量産化技術開発を進めるとともに、2015年夏を目途に、開発品のサンプル供給を計画している。