信越化学工業は3月12日、主力事業の一つであるシリコーン事業の拡大をめざし、タイの工場の生産能力を大幅に増強するとともに、アメリカ合衆国ニュージャージー州にテクニカルセンターを新設すると発表した。
シリコーンは、電気、電子、自動車、住宅、化粧品やトイレタリー製品など幅広い用途で使われている高い機能を持つ樹脂。同社は、顧客の多岐にわたる要望に応える製品を開発し供給することでシリコーン事業を拡大してきた。その結果、国内では50%を超えるシェアを有する事業に成長を遂げた。海外ではアジア、アメリカ、欧州に生産拠点を設け事業の拡大に取り組んでいる。世界最大の需要を有するアメリカでは、シリコーンの需要は堅調に伸びている。また、経済成長が進む新興国では、高機能樹脂への需要が高まっておりシリコーンの需要の伸びが期待されている。
同社は日本で培い成果を上げてきた研究、製造、販売が三位一体となった取り組みを海外でも展開していく。今回の計画はその一環であり旺盛な世界の需要を着実にとらえていく。
同社は、2001年にタイでジェネラル エレクトリック カンパニー(以下、GE社)との合弁会社アジア シリコーンズ モノマー(以下、ASM社)を設立し、シリコーンモノマーの生産を開始した。2013年には、GE社の保有する株式を全量買い取り完全子会社化している。一方、ASM社に隣接する土地で最終製品であるシリコーンポリマーの生産も行っている。
今回の増設計画により、同社はシリコーンモノマーの工場の生産能力を現在の年産7万トンから10万5000トンへ5割増やす。同時に、シリコーンポリマーの生産能力を年産5万4000トンから7万4000トンへ約4割増やす。増設工事は2017年に完了する予定で、投資金額は約200億円を見込んでいる。
また、現在、同社はテキサス州およびオハイオ州に工場を有し、シリコーンポリマーの生産を行っている。今回、これらの生産拠点に加え、新たにテクニカルセンターをニュージャージー州に設置することを決定した。
同テクニカルセンターを新たに設立する狙いは、アメリカの顧客の要望に迅速に応え、新規製品および用途の開発に取り組むこと。シリコーン電子材料技術研究所(群馬県安中市)と連携して、顧客のニーズをきめ細かく掘り下げていくことでアメリカでの事業の拡大に取り組む方針。