独ランクセス 2014年度通年の業績を発表

2015年03月24日

ゴムタイムス社

 独ランクセスは3月23日、2014年度通年の業績を発表した。

 連結売上高は前年比3・5%減の約80億ユーロとなったが、特別項目調整前EBITDAは前年比9・9%増の8億800万ユーロとなった。純利益は事業再構築プログラムに関する特別損失の計上にもかかわらず、前年比2億600万ユーロ増の4700万ユーロ。同時にランクセスは純負債を大幅に削減し、営業キャッシュフローは向上した。

 2014年8月、ランクセスは3段階の事業再構築プログラムを発表した。第1段階の「事業部および管理部門の組織再構築による競争力強化」は、ほぼ完了した。これには、世界的に実施された約1000名の人員削減が含まれる。そのうち、ドイツ国内では主に管理部門が対象となり、約500名が合意の上退職となった。ドイツ国外では約500名が削減される。第1段階の実施により、ランクセスは2015年度末に約1億2000万ユーロ、2016年末から年間1億5000万ユーロを削減できる見込み。

 また、同社は第2段階の「製造および営業とサプライチェーンにおける競争力強化」について、最初の対策に着手している。現在の合成ゴム市場における供給過剰を考慮し、エチレン・プロピレンゴム(EPDM)とネオジウム触媒ポリブタジエンラバー(Nd―BR)の製造ネットワークの最適化を図る。

 同社は、2015年度末でマール拠点(ドイツ)におけるEPDMゴムの製造を中止する予定。同社のEPDM製造ネットワーク内で、マール施設は規模の経済性が限られること、またエネルギー価格および原料費が他の拠点と比較して高いことなどから、競争力が低下しているため。

 マール拠点の総従業員数は約120名で、同社は双方の合意点を導き出すために直ちに従業員代表との話し合いを始める。

 同社は2016年度中に、Nd―BRの製造をドルマーゲン拠点(ドイツ)とシンガポール拠点に集中する。オレンジ拠点(米国)、カボ・デ・サント・アゴスチーニョ拠点(ブラジル)のNd―BR製造施設はそれぞれの地域の市場向けに供給する予定。ポートジェローム拠点(フランス)とオレンジ拠点にあるNd―BR施設では、余剰製造能力を利用し、将来的に他のブタジエンゴムグレードを製造する。加えて、柔軟な資産管理の一環として、オレンジ拠点におけるブタジエンゴムの製造量を低減し、4製造ラインのうち3ラインのみを稼働する。

 事業再構築プログラム終了後、同社は、EPDMとNd―BRの製造施設を、北米、ラテンアメリカ、アジア、欧州の4地域にそれぞれ1施設ずつ配置することになる。

 EPDMとNd―BRの製造ネットワークの組織再構築に伴い、約140名の従業員の削減が行われ、約5500万ユーロの特別損失が発生する。一方、2016年度末から年間約2000万ユーロのコスト削減が期待できる。

 事業再構築プログラム第2段階の取り組みとして、「営業とサプライチェーンおよび製造プロセスと施設の最適化」などの対策も進行中。これらの取り組みの成果は、2015年後半に現れる見込み。

 同プログラムの第3段階である「事業ポートフォリオの競争力強化」は、特にゴム事業での連携により達成される。ランクセスは現在、複数の可能性のあるパートナーと交渉中で、2015年度下半期には結果を報告可能な予定。

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