金属あるいは他の材料を用いたローラー芯(コア)にゴム、その他の弾性物質を被覆したものと定義されるゴム・樹脂ロールは、印刷や鉄鋼、製紙、住宅など多様な産業のモノづくりの現場を支えている。各ロールメーカーはこれら業界の厳しい要求を満たすべく、製品開発やサービス強化に取り組んでいる。
ただ、ロール業界の経営環境は厳しさを増している。印刷や鉄鋼、製紙などの生産量が伸び悩んでいるためだ。
日本ゴム工業会・統計委員会(ロール製品関係7社)がまとめた17年のゴム・樹脂ロールの生産量合計は3850tで前年比0・3%減と前年実績を下回った。また、18年1~3月の生産量は914tで前年同期比8・3%減と18年に入っても減少傾向にある。
用途別では、1~3月の印刷用の生産量は同10・1%減で、3四半期連続の減少。インターネット普及に伴う活字離れが進み、チラシや広告など印刷物の減少が響いている模様だ。
印刷用を取り巻く環境は厳しいものの、環境に優しいUV印刷用ロールは需要が比較的堅調だ。従来の油性印刷機からUV印刷機への切り替えが進んでいるためで、各メーカーはUV用ロールの拡販に注力し、需要の掘り起こしを狙っている。
製鉄用は同3・8%減で4半期ぶりの減少。製鉄所ではライン集約化が進む一方、ラインの稼働率が上がっている。このため、「製鉄用では製品寿命が長く、交換頻度の少ない高耐久ゴムロールへの要求が高まっている」(メーカー開発担当者)という。印刷用と同様、製鉄用でも高機能ロールへの需要は伸びているようだ。
この他、染色・化繊用、第1次フィルム用、搬送機器用、外壁等住宅用等を含むその他用は同14・3%減。
このうち、食品や医薬品の軟包装からIT関連まで多様な用途で使われるフィルム用では、リチウムイオン電池など2次電池向け