信越化学工業の15年3月期連結決算は、売上高が1兆2555億4300万円で前年同期比7・7%増、営業利益は1853億2900万円で同6・6%増、経常利益も1980億2500万円で同9・6%増、当期純利益は1286億600万円で同13・2%増となった。
塩ビ・化成品事業では、米国シンテック社は原料価格上昇などの影響を受けたものの、住宅市場に回復が見られた米国内の需要を取り込むとともに、世界中の顧客への積極的な販売に努めたことから、収益は底堅く推移した。オランダのシンエツPVC社は出荷が堅調に推移したが、期後半に原料調達先で生じた設備トラブルの影響を受けた。また、国内事業は住宅関連需要が振るわず、厳しい状況が続いた。この結果、同セグメントの売上高は4526億5600万円で同5・8%増となり、営業利益は502億6400万円で同16・4%減となった。
シリコーン事業は、国内では自動車や化粧品向けが順調だったことに加え、電子機器向けが上向くなど、幅広い分野で堅調に推移。海外でも、欧米のほか東南アジアや中国向けの製品が総じて好調に推移した。これにより、同セグメントの売上高は1774億3800万円で同13・4%増となり、営業利益は334億1400万円で同5・1%増となった。
機能性化学品事業では、セルロース誘導体は、国内では医薬用製品を中心に堅調に推移したものの、ドイツのSEタイローズ社は価格競争の影響を受けた。また、豪州シムコア社の金属珪素は、市況の上昇もあり堅調に推移。これらの結果、同セグメントの売上高は1123億4700万円で同8・9%増となり、営業利益は152億7800万円で同19・8%増となった。
半導体シリコン事業では、スマートフォンや自動車などの需要拡大により半導体デバイスの生産が増加したことから、販売は総じて好調に推移した。こうしたことから、同セグメントの売上高は2300億1600万円で同7・9%増となり、営業利益は356億900万円で同45・6%増となった。
電子・機能材料事業では、希土類磁石はハイブリッド車をはじめとする自動車向けが好調だったことに加え、大容量のハードディスクドライブ向けも底堅く推移した。フォトレジスト製品は半導体デバイス微細化の進展もあり、ArFレジストや多層レジスト材料が伸長。また、LED用パッケージ材料も堅調に推移した。光ファイバー用プリフォームは、市況低迷の影響を受けたものの、期後半の出荷は堅調。この結果、同セグメントの売上高は1835億500万円で同7・3%増となり、営業利益は462億800万円で同12・8%増となった。
その他関連事業では、信越ポリマー社の自動車用入力デバイスや半導体ウエハー関連容器は、堅調に推移。また、信越エンジニアリング社のエンジニアリング事業も底堅く推移した。これにより、同セグメントの売上高は995億7900万円で同5・8%増となり、営業利益は48億2600万円で同31・5%増となった。
2016年通期の連結業績予想は、変動する可能性がある外部要因を考慮すると、現時点で今後1年間の業績予想を合理的に行うことは困難なことから、連結業績予想は未定となった。同社は今後、連結業績予想の開示が可能となった時点で、速やかに開示するとしている。