東海カーボンの2015年第1四半期連結決算は、売上高が前年同期比1・7%増の276億4700万円となった。損益面ではカーボンブラックの国内外市場への安価な中国製品の流入や黒鉛電極の価格低迷等の影響を受けたものの、ファインカーボンの需要回復や、各部門におけるコスト低減を推し進めたことなどにより、営業利益が同71・0%増の10億6200万円、経常利益が同571・8%増の10億4400万円、四半期純利益が同290・4%増の4億8500万円となった。
カーボンブラック事業部門では、国内において、消費増税前の駆け込み需要の反動により対面業界である自動車及びタイヤ生産は前年同期を下回って推移しており、カーボンブラック需要も低調に推移した。国内外の市場への安価な中国製品の流入は続いており、主にタイ市場において売価や数量の影響を受けた。昨年5月から連結子会社としたカンカーブ社(カナダ)の業績寄与および、昨年生産能力増強工事が完了した東海炭素(天津)有限公司の数量増により売上高は増加したものの、営業利益は微減となった。
以上によりカーボンブラック事業の売上高は同8・9%増の130億4600万円となり、営業利益は同1・0%減の4億2000万円となった。
炭素・セラミックス事業部門の黒鉛電極は、世界粗鋼生産は前年同期並みの水準で推移したが、対面業界である電炉鋼の生産は、アジア地区において中国製鋼材の流入等により稼働が落ち込み、黒鉛電極の販売数量は前年同期比減となった。売上高は、需給バランスの不均衡による価格の低迷などにより、同14・0%減の70億1400万円となった。
ファインカーボンは、対面業界である半導体や太陽電池生産の回復に伴い、全体的に回復基調が続いた。地域別では、米国は半導体用やポリシリコン向けの需要増に加え一般産業用も堅調に推移し、一般産業用が主力の欧州市況は景気悪化の懸念があったものの回復の兆しが見えつつある。アジアでは、日本国内では需要の伸び悩みがあるものの、韓国はLED用が概ね好調であり、中国は需要回復が見られる太陽電池用をはじめ、一般産業用やLED用も堅調に推移した。しかし、需給ギャップが依然として改善されないことから、価格競争は厳しさを増し、売上高は同6・4%増の36億5800万円となった。
以上により、炭素・セラミックス事業部門の売上高は同8・0%減の106億7200万円となり、営業利益は同57・8%増の6億1900万円となった。
通期の業績予想については今年2月に公表した数値に変更はなく、売上高が前期比3・1%減の1110億円、営業利益が同8・0%減の40億円、経常利益が同9・1%減の38億円、純利益が同29・8%減の18億円を見込んでいる。