旭カーボン㈱(新潟市東区、大橋牧夫代表取締役社長)はブリヂストングループの一員として、タイヤ用のほかウェザーストリップやワイパーブレード、防振ゴムなど自動車部品を主とした工業用品向けカーボンブラックの開発、生産販売を行っている。カーボンブラック業界の需要構成はタイヤ向けが約8割、工業用品向けが約2割で、工業用品の内訳としては8割以上を自動車部品が占めている。
14年度の業績は、タイヤ向けはタイヤ需要の減少を背景に、販売量は微減となった。工業用品向けに関しても、上期には消費増税の駆け込み需要などにより販売量が増加したが、下期では原材料価格の急激な下落などの影響により、販売量、売上高ともに減となった。しかしながら、コストの低い原料油の購入や生産性向上などが、利益面では寄与した。「年間およそ20万tもの輸入品、特に中国品による影響が大きかった」という。
輸入品への対策としては、「コスト力と品質安定性という2つの方向で改善に向け動いている。原材料の購入を含め更にコスト削減を図り、競争力を強化していく」。
2015年上期(1月~6月)については原材料単価の影響から減収となる見込みだが、「予め自動車生産量に応じた予算を組んでいたので、量的には想定の範囲で推移している」という。
下期も若干の減少を予想している。しかし「国内品の相対的な競争力は上がっている。中国品への価格競争力も復活してきている」とし、粘り強い競争力強化に取り組んでいる。
環境防災面では、安全防災環境・CSR・コンプライアンスの強化を進めている。 「国内の顧客からは、まずは安定供給が求められている。供給をストップするわけにはいかないので、安全・防災に関しては今後も力を入れていく」としている。
今後の施策としては、「技術サービスを更に強化する。顧客で起こったトラブルや分析対応といった技術サービスを提供し、付加価値による差別化を図っていく」。同社では、技術営業をベースとしており、顧客に赴く際には、営業だけではなく技術担当も同行するのが基本となっている。
顧客とは、カーボンに関する相談に応じるのみならず工程の課題解決にも一緒に取り組んでいる。
「こうした付加価値の提供が、お客様との信頼を生み、国内工業用品の高いシェア確保につながっている」。
今後は技術サービス力を維持向上するとともに、強い分野への集中と新たな市場の開拓に注力し、タイヤ用はもちろん、その他カーボンブラック事業を更に強化していきたい。」考えだ。
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