複写機やプリンタなどの普及、印刷工程のデジタル化による価格競争により、印刷産業は年々縮小傾向にある。
そうした中、オフセット印刷に使われる「パウダーレスインキ」が登場した。この新しいインキは、印刷用ロールの需要掘り起こしにつながるだろうか。
経済産業省の工業統計によると、昨年の印刷事業所数は約2万7000社で前年比4・3%減、出荷金額は5兆5450億円で同1・3%減と、印刷産業は低迷を続けている。
また今年4月の生産動態統計によると、印刷インキの生産量は前年同月比4・2%減、産業用デジタル印刷機を除く印刷機械の生産台数は同2・1%増、紙の生産量は同3・5%減少した。
印刷機械の生産が増加しているのは、UV印刷機の導入が増えているためとみられる。
UV印刷は紫外線に速乾性のあるUVインキを使用し、紫外線を照射することで、瞬間的にインキを硬化・乾燥させて印刷する技術。超短納期化が進む印刷業界では、印刷後、瞬時に乾燥し、品質・作業環境面でも大きな効果をもたらすUV印刷の導入が加速している。
しかし、UV印刷では乾燥システムを導入する必要があり、設備や専用インキなどのコスト負担が大きいことから、導入を躊躇する印刷会社も少なくないという。
そこで登場したのが「外的エネルギーに頼らない」「既設設備の活用」「コストをかけない」をコンセプトとするパウダーレスインキだ。
印刷中にパウダーを使用せず、裏写りやブロッキングを防止することができる上、既存設備での印刷が可能となる。この新しいインキの登場により、印刷用ロールの需要拡大にも期待がかかる。
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