住友ゴム工業は7月6日、独自の新材料開発技術「アドバンスド4Dナノデザイン」の年内完成を目指すと発表した。
スーパーコンピュータ「京」など、最先端設備を活用した高度なシミュレーション解析により、タイヤの背反性能であるグリップ性能・低燃費性能・耐摩耗性能の大幅な性能向上が期待できる。
年内に技術を確立し、2016年以降に発売する製品に採用していく。
会見で、村岡清繁執行役員材料開発本部長は「今までなかった価値を持つタイヤを生み出す大きな可能性を秘めている」と開発技術を紹介した。
新技術では、大型放射光施設の「SPring―8」でゴムの構造解析を、世界最高クラスの中性子実験ができる「J―PARC」で運動解析を行うことで、材料中の原子と分子の動きを把握し、スーパーコンピュータ京でゴムモデルをシミュレーションする。
「これだけの施設が国内に存在するのは日本だけであり、この施設をフルに連携活用することにより、独自の開発技術を確立することができた」(若林昇材料開発部材料第三部長)
アドバンスド4Dナノデザインでは、ゴム中の分子レベルのミクロな破壊現象からマクロな摩耗現象まで可視化できるため、それらを抑制する新素材・新配合の開発が可能となる。
また、従来開発技術4Dナノデザインでは、スケールごとに別々に解析を行ってきたが、アドバンスド4Dナノデザインでは、全ての領域を一度に解析することができる。
これにより、耐摩耗性能とグリップ性能などの背反性能の解析を一度にすることが可能となり、タイヤ性能全体の底上げが可能となる。
「これまでより1段も2段も性能が向上したタイヤの開発ができる」(同)だけでなく、シミュレーションの向上により、開発スピードを上げ、タイムリーな製品供給も目指す。