九州ゴム工業会 創立50周年を迎え、更なる飛躍へ

2015年09月07日

ゴムタイムス社

 一致団結新たな発展目指す 50周年を迎えてあいさつ

 九州ゴム工業会は今年で設立50周年を迎えた。九州地区でゴム産業の大手から中堅・中小企業まで製造業を中心に幅広い業種が会員となる九州ゴム工業会の果たしてきた役割は大きい。そこで、九州ゴム工業会の中島幹雄会長に50周年の抱負や今後の展望を聞いた。

今後の展望を語る中島会長

 ―設立50周年を迎えるに当たって。
 当工業会は様々な業種の企業様で構成され、いわば呉越同舟のような集まりです。そのなかで、当会ポリシーである「協力と競争の調和」をいかに実現させていくかの50年だったと思います。私が会長に就任して10年が経ちますが、何とか一つの形にまとまってきました。
 就任当初は、当会のなかで共同プロジェクトなどの目標がありましたが、なかなか進まず、ようやくこの50周年を機に、過去の反省を踏まえて活発的に活動するようになりました。ただし、会員企業様の業務上での提携や共同開発などは、なかなか難しいのが現状です。しかし、50周年を迎えて、当会と九州大学、福岡県工業技術センター化学繊維研究所などと協力して共同プロジェクトをスタートさせました。普段は競合する企業様もいますが、水素関連のゴム製品の実現に向けて、当会一丸となって取り組んでいきたいです。

 ―同会の概要と活動内容について。
 九州ゴム工業会は、九州地区のゴム産業の技術振興や地域社会の発展に貢献すべく、1965年8月に設立しました。大手から中堅、中小など様々な業種の企業が集結しています。当会の会員企業は設立当初、約40社でしたが、各会員企業様の統合、リーマンショック以降の不況の影響などにより、現在は28社になっています。確かに会員企業は減少しましたが、以前より協力的になり、結束力は高まってきております。
 主な活動は、お互いの親睦を深める行事を中心に行うほか、業界の専門テーマで行う経営勉強会や技術講習会などを重点的に開催しています。昨年は、「燃料電池車とゴム部品とその技術要素について」のテーマで、九州大学の西村伸先生による講演会を実施しました。また、九州大学水素材料先端科学研究センターや公益財団法人「水素エネルギー製品研究試験センター(HyTreC)」の見学会も開催しました。

 ―同会の今後の取り組みについて。
 どうしても呉越同舟の集まりなので難しいですが、当工業会ポリシーである「協力と競争の調和」を今後も実現に向けて邁進してくことがひとつの取り組みです。もうひとつは、会員企業様の新旧交代がうまくいっていないこと。今までの会員企業様のなかには、廃業した企業や新しくできた企業もありますが、なかなかそのような情報が入ってこないので、お互いに情報交換を密に行っていきたいです。さらに、会員企業様がお金を払う価値があるような共通の話題や目標を見つけることがなかなか難しい。そのために、今回の水素関連の共同プロジェクトは力を入れて取り組みたいです。

 ―人材育成について。
 人材育成は九州ゴム工業会というよりは、㈱久留米リサーチ・パークが国から補助金をもらい、久留米地域若手リーダーゴム技術者人材育成事業を行っています。これに当会もバックアップをして、人材育成や技術の伝承などに取り組んでいます。国からの補助金は5年間で終了しましたが、人材育成や技術の伝承は重要事項なので、当会でお金を出し、引き続き行っています。

 ―今後の展望について。
 日本の産業は約9割が中小企業で成り立っています。しかも、当会の問題点は、特に自社製品を持たない下請け企業が多いこと。会長として強く願うのは、会員企業の皆様が自社製品を持つことができる企業として、そのことを支援できる九州ゴム工業会でありたいです。現在は、会員企業様のなかで世代交代が徐々に進んでいます。下請け事業に依存せず、自社製品を持つことによって、会員企業様の特徴を活かした事業展開は十分に考えられます。今後として、会員1社ではできないこともお互いが協力することで製品開発が可能なシステムができないかと考えています。

———————————

 産学官連携で活性化 
 燃料電池車向け 製品プロジェクト開始

 九州ゴム工業会はこのたび、九州大学、福岡県工業技術センター化学繊維研究所のほか、地元の研究機関と協力して燃料電池車向けゴム製品について開発を行っていくと発表した。

 開発にあたっては、同工業会の各会員企業が取り組んでいる現在の製品領域で、燃料電池関連のゴム部品の開発を必要に応じて共同もしくは個別で取り組むことになっている。

 具体的には、会員企業の特長を活かした上で、水素供給系統向シール材・ライニング材をはじめ、燃料電池車用パッキング、水素関連ゴムライニング、水素関連用品(水素雰囲気で使用可能なゴム手袋など)などまでの製品開発を行っていく。

 今回の共同開発プロジェクトにあたり、同工業会の中島幹雄会長は「燃料電池車向けゴム製品の開発という共通の目的を持つことで、会員企業同士のシナジー効果を期待している」と抱負を語り、他の地域に先駆けて燃料電池車向けゴム製品を共同開発することにより、産学官連携で九州地区の活性化につなげていきたいという。

 同プロジェクトは、設立50周年記念事業の一環として昨年から進めており、その遂行に当たり同工業会のポリシーである「協力と競争の調和」によって最大限の成果を実現していくとしている。そのため、同工業会内に耐水素研究開発部会を設立する。また公共研究機関の協力を得て、会員企業が試作したゴム製品の水素雰囲気での各種評価結果について検討を行う勉強会を年数回開催。その勉強会の成果をもとに、各企業がそれぞれ個別に開発を行い、共同で取り組んだ方がシナジー効果が得られるものについては共同で開発を行っていく計画だ。

 また、会員企業は利用可能な国や県の施策については最大限利用し、国もしくは県と協力しながら開発事業を進め、開発事業の期間としては2015年下期から3年以内を目標として成果を出していく。

———————————

◆名称:九州ゴム工業会
◆設立:1965年(昭和40年)8月
◆会員企業:28社(2015年9月7日現)
◆目的:会員相互の啓発、連絡、協調及び親睦を図り会員企業の健全なる発展に寄与することを目的とする。
◆事業内容:①会員相互の啓発、連絡、協調及び親睦に関する事業、②ゴム工業の加工技術に関する研究および調査、③九州地区ゴム工業の発展に関する事業、④政府その他関係官庁ならびに団体に対する意見の開陳、⑤その他本会の目的を達成するために必要な事項

———————————

歴代の会長
第1代 岡井武雄氏
第2代 永田匡滋氏
第3代 渡辺宏氏
第4代 中野勝司氏
第5代 石丸忠功氏
第6代 久米正博氏
第7代 石丸忠功氏
第8代 中島幹雄氏

———————————

九州ゴム工業会の主な活動
九州ゴム工業会では会員の人材育成や会員相互の交流をを図るため、年間に様々な事業を展開している。

———————————

【最近10年間の活動状況】
▼2008年度 「下請ガイドライン説明会」 ▼2009年度 「社内コミュニケーション」浅見広明氏(Captain No.2) ▼2010年度 「日系中小企業アジア地域での生産の実情と可能性について」江口力人氏 ▼2010年度 ※「インターナルミキサーで同じコンパウンドを作れるのか?」藤道治氏※「特殊ゴムの練りについて」平松二三男氏(NOK) ▼2012年度 ※「オープンロール型連続混練機」石川修氏(日本コークス工業)※「免震ゴム技術の根幹と将来像」芳澤利和氏(ブリヂストン)・「航空宇宙産業への参入の可能性について~「まんてんプロジェクトを参考に」山内慶次郎氏(JASPA) ▼2013年度 「K2013視察報告」中島幹雄氏  ▼2014年度 講演会「燃料電池車とゴム部品とその技術要素について」西村伸氏(九州大学)・九州大学水素材料先端科学研究センター見学・公益財団法人「水素エネルギー製品研究試験センター(HyTreC)」見学
※印は日本ゴム協会九州支部との共催

———————————

50周年の歩み 沿革
1965年8月 岡井武雄氏、渡辺始氏、ほか数名の発案により九州ゴム工業会を設立する。石丸忠勇氏 九州ゴム工業会会長就任
1975年1月 岡井武雄氏、九州ゴム工業会会長就任
1980年3月 中島輝雄氏、村山克彦氏、岡井武雄氏、化学品検査協会辛島氏ほか数名の発案により九州ゴム工業会、型物部会を設部する。村山克彦氏、型物部会部会長就任
1981年7月 初めての型物部会主催により一泊二日の親睦旅行を企画・実施する。
1982年1月 久米正博氏、型物部会部会長就任
7月 九州ゴム工業会主催により一泊二日の親睦旅行を企画・実施する。
1986年1月 永田匡滋氏、九州ゴム工業会 会長就任。永尾元彦氏、型物部会部会長就任
1988年1月 中野勝司氏、型物部会部会長就任
1989年3月 九州ゴム工業会活性化準備委員会を発足
12月 型物部会解散
1990年1月 委員会制発足(技術交流、賛助会員増強、広報委員会を結成)。 
1991年1月 渡辺宏氏 九州ゴム工業会会長就任
11月 海外視察旅行(韓国)二泊三日
1992年1月 中野勝司氏、九州ゴム工業会会長就任
1993年12月 九州ゴム工業会内の日本ゴム工業会九州事務局の分離・独立
1995年2月 化学品検査協会の事務局辞退により、事務局を日興ゴム㈱に移す。
1996年1月 石丸忠功氏、九州ゴム工業会会長就任
2000年4月 久米正博氏、九州ゴム工業会会長就任
2004年4月 石丸忠功氏、九州ゴム工業会会長就任
2006年4月 中島幹雄氏、九州ゴム工業会会長就任。九州ゴム工業会ホームページ立ち上げ
2007年 兵庫ゴム工業青年クラブとの交流会(於:神戸)、同会との交流会(於:久留米)、同会との交流会(於:神戸)、福岡県ものづくり振興会議委員への就任
2011年 東日本大震災被害者支援への寄付。9月5日、6日を(キュウゴムと呼び九州ゴム工業会の日に制定)

九州ゴム工業会50周年

全文:約4304文字

関連キーワード: ·

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー