宇部興産は9月15日、車載用リチウムイオン電池の需要増大に対応するため、宇部ケミカル工場(山口県宇部市)の既存設備の再構築と、堺工場(大阪府堺市)のセパレーター製造設備の新増設を決定したと発表した。
今回の計画は、第1ステップとして来年7月の完成を目指し、宇部ケミカル工場の既存設備再構築による能力増強を実施する。第2ステップでは、再来年6月の完工を目標に、堺工場に新規設備を設置。宇部と堺両拠点の生産能力を現在から40%増加し、合計2億㎡に拡大する。
これらの増強により、需要増大にタイムリーに対応し、拡大基調にある車載用途でのプレゼンスを確固たるものにするとともに、市場の成長を牽引していく。また2020年頃までに、現行比倍増となる3億㎡規模へと、能力を段階的に引き上げることも検討している。
宇部興産は94年に宇部ケミカル工場でセパレーターの生産を開始し、リチウムイオン電池市場の伸張に応じて同地区で段階的に能力増強を実施してきた。13年には新たに堺工場で生産を開始し、国内に2つの製造拠点を設けることで、供給の安定性を図りながら需要の増大に対応してきた。
リチウムイオン電池は、ハイブリッド自動車(HV)やプラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)などの車載用途での大幅な需要増大が予想される。また、蓄電用途や産業用途などへの展開も、さらに進むことが見込まれている。
同社のセパレーターは乾式製法を特徴として、すでに車載用として多くの採用実績がある。また、11年には日立マクセルとの合弁で、宇部マクセル(京都府大山崎町)を設立。両社の高い技術力の融合により、高信頼性をはじめとする、多様な性能を持つ高機能塗布型セパレーターを生産しており、国内外市場の伸びとともに着実に販売数量を伸ばしている。