横浜ゴムが今シーズンに投入した乗用車用スタッドレスタイヤ「iceGUARD 5 PLUS」は、従来品の「氷に効く」「永く効く」「燃費に効く」という3つのコンセプトを継承しつつ、氷上性能と省燃費性能のさらなる向上を目指して開発された新製品。
氷上性能を7%向上させながら、転がり抵抗も7%低減させるなど、ユーザーが求める性能を高いレベルでバランスさせたスタッドレスタイヤとなった。
同社は今年2月に北海道・上川郡のテストコース「T*MARY」で新製品の試乗会を実施した。
試乗会前日に行われた製品説明会では、開発背景や技術解説が行われた。
まず開発の背景として、同社が実施したWEB調査で、ユーザーがスタッドレスタイヤに求める性能は氷上ブレーキ性能が多いことがわかった。また、さらに向上して欲しい性能でも、氷上性能を求める声と共に、燃費性能を求めるユーザーが多い事がわかったという。
こうした声に応え、「iceGUARD 5 PLUS」は、雪上・摩耗・夏タイヤ性能はそのままに、氷上性能をさらに高め、燃費性能の向上をテーマに開発されたと説明した。
氷上性能では、従来の「新マイクロ吸水バルーン」、「ブラックポリマーII」に加え、従来比で最大30倍の大きさとなる「エボ吸水ホワイトゲル」を新たに採用した。
これにより、スリップの原因となる氷表面の水膜吸水率を従来品比で20%向上させた。
また、低温でもゴムの柔らかさを保つ「ブラックポリマーII」と素材そのものがゲル状で柔らかい「エボ吸水ホワイトゲル」との相乗効果により、氷表面の微細な隙間を埋めて、タイヤを氷表面に密着。新マイクロ吸水バルーンのカラが氷を噛むことで、高いエッジ効果が発揮できる。
トレッドパターンは氷上、雪上路面に最適化され、市場で高い評価を獲得した「iceGUARD 5」の非対称パターンを継承。同パターンは、イン側に氷上性能、アウト側に雪上性能の役割を持たせた。
イン側は大きな接地面積でグリップ力を確保するとともに、多数のサイプによりエッジ効果を高めた。様々な凍結路面での制動性能と発進性能の向上に貢献している。またアウト側は、大きな溝面積を取り、高いブロック剛性を持たせることでシャーベット、ウェット、ドライといった環境下でも高い操縦安定性を実現した。
新マイクロ吸水バルーン、エボ吸水ホワイトゲル、ブラックポリマーIIといった技術とパターン技術の相乗効果により、氷上制動性能は従来品比で7%向上している。
省燃費性能では、二層構造となるトレッドゴムの下層に、新開発の「低発熱ベースゴム」を新規採用。タイヤの剛性を保ちつつ、エネルギーロスを低減した。これにより、省燃費性能を向上させるとともに、操縦安定性も高めた。
また、低燃費タイヤブランド「ブルーアース」の先進サイドプロファイル技術である「たわみ制御プロファイル」を継続採用。タイヤサイドのたわみを適正化することにより、エネルギーロスを抑え、転がり抵抗を低減した。これら技術の採用で、ころがり抵抗は従来品に比べ7%低減させた。
試乗会では、新製品を装着して、雪上周回路をはじめとする評価路面を走行した。
走行により、路面表面が溶けているようなスタッドレスタイヤが不得意な状況でも、氷上性能の向上を体感することができた。
従来品と比較して、挙動も安定しており、特に走り出しの力強い加速が印象に残った。接地感が高く、路面を捉えている。
ハンドリングの反応も早く、ブレーキングでも、従来品より、明らかに制動距離が短った。
スピードを上げたコーナリングでも、横滑りすることなく、安定した走りを見せた。
アイスガード史上最高の氷上性能を十分に体感することができた試乗会となった。
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