ブリヂストンは10月1日、「グアユール」由来の天然ゴムを使用した最初のタイヤが完成したと発表した。
今回作成したタイヤに使用した「グアユール」由来の天然ゴムは、アリゾナ州にあるグアユール研究施設を中心に、栽培から抽出精製までのすべての過程に同社グループの技術を適用することによって得られた。
同日開催された技術説明会で、中央研究所担当の森田浩一執行役員は「タイヤに使用される天然ゴムのほぼ100%に近い部分をグアユール由来の天然ゴムに置換した。
まだ、室内試験の段階だが、十分な耐久性を持ったタイヤができた」と第1号タイヤを紹介した。
同社では「100%サステナブルマテリアル化」を環境長期目標として掲げている。目標達成に向けて、原材料使用量の削減、資源の循環、再生可能資源の多様化や拡充の3つのアクションを推進しおり、その中で、再生可能資源の多様化・拡充に向けた取り組みとして、グアユールの研究開発を進めている。
タイヤの原材料の中で大きなウエイトを占める天然ゴムはパラゴムノキから生産されており、その約9割が東南アジア地域に集中して栽培されている。
パラゴムノキとは異なり「グアユール」は乾燥地域で栽培できる植物であり、またその組織に含まれるゴム成分がパラゴムノキ由来の天然ゴムによく似た性質を持つことから、天然ゴム生産地域の一極集中を緩和し、新たな天然ゴム供給源になるものと期待されている。
パラゴムノキは植林後25~30年で再植林が必要だが、「グアユール」は苗の栽培後、3年周期で栽培することができ、需要により栽培を調整できるメリットもある。
同社では、米国アリゾナ州エロイ市に114ヘクタール(東京ドーム約25個分)の農地を確保し「グアユール」の品種改良や栽培技術の開発を目的とした研究農場を完成させ、2013年9月より研究活動を開始している。
また、2014年9月には同州メサ市に「グアユール」の加工研究所「Biorubber Process Research Center(以下、BPRC)」を開設し、天然ゴムの試験生産が可能となっており、米国、日本、欧州の各技術センターにおいて「BPRC」で生産された「グアユール」由来の天然ゴムの性能評価、タイヤ生産と評価を行うことで、今回のタイヤが完成した。
今後は、2016年末に検討規模拡大の判断を行い、2020年代前半までに実用化を目指すとしている。