JSR株式会社(小柴満信社長)は、遮熱塗料向け材料として、フッ化ビニリデン系ポリマーとアクリルポリマーを分子レベルで相溶化させたフッ素・アクリル複合水系エマルジョン「SIFCLEAR(シフクリア)™」を上市した。 現在、省エネルギー化に向けた取り組みが急がれる中、太陽光線による建物内の温度上昇を抑制する遮熱塗料が注目されているが、従来の遮熱塗料では3ヶ月間 屋外に放置した後の塗工表面の近赤外光反射率が15%以上低下するのに対して、わずか3%程度の低下に抑えることができた。 同製品は、同社の持つエマルジョンの技術とポリマーアロイ化の技術を活用し、フッ素系ポリマーとアクリル系ポリマーをバランスよく相溶化させたもの。 フッ素系のポリマーが持つ耐久性に加えて、アクリル系ポリマーを相溶させることで材料自体の疎水性と親水性のバランスをコントロールすることにより、高い耐候性に加え、優れた耐汚染性と簡単に汚れを落とすことが出来る塗工表面性能を実現させた。 また、従来のフッ素エマルジョン系材料に比べて、塗料にしたときの塗膜形成性能が良好で、比較的低い温度での塗膜形成も可能となる。塗工表面の汚染によって起こる熱線反射効果の低下を防ぐことができ、遮熱塗料としての効果が持続するという。 同社はこの製品がエマルジョンとしての安定性があるため使い勝手がよく、成膜すると強固なシロキサン結合により、優れた耐候性・耐汚染性を発揮することから、セメント系建材の耐候コーティング材用途に幅広く展開していく方針でいる。
2011年06月20日