日本自動車タイヤ協会(JATMA)は10月14日、日本と欧州、米国、韓国を代表するタイヤメーカーのCEOが9日、フランスのシャンティイに集まり、第6回目の「タイヤ産業プロジェクトCEO会議(TIP)」を開催したと発表した。日本からは津谷正明・ブリヂストンCEO、池田育嗣・住友ゴム工業社長、野地彦旬・横浜ゴム社長が出席している。
会議では、タイヤが環境と健康に及ぼす可能性のある影響について調査する、現在継続中の国際研究プロジェクトの結果を発表。
主な研究成果として、タイヤ摩耗粉塵と道路上の粉塵(TRWP)は、人体の健康と環境にとって安全と考えられること、経済協力開発機構(OECD)の最近の研究では、タイヤ用の新たなナノマテリアルの開発は、社会にとって有益であることが示された。
過去2年間にTIPが取り組んできた重要課題は、この2つの研究のほか「ライフサイクルアセスメント(LCA)を実施するための製品カテゴリールール(PCR)の策定」「報告に関する共通指標の策定」「廃タイヤ(ELT)の管理」の3項目である。
タイヤ摩耗粉塵とTRWPの及ぼし得る影響については、ロサンゼルスとロンドン、東京で実施した広範な大気試験の結果、PM2・5ミクロンの濃度は極めて低く、世界のどの国の健康基準や規制基準値を下回っていることが分かった。
なお、この課題に関しては、タイヤがライフサイクルで及ぼす影響の理解をさらに深めるため、TRWP中の特定の化学物質について追加毒性試験を行っている。
2つ目のテーマでは、TIPの技術支援を受けたOECDによる研究で、タイヤ用に開発・使用される可能性のある新たなナノマテリアルの影響を評価した。その結果、社会的・経済的にポジティブな影響をもたらすことが示された。
またこの研究では、製品のライフサイクル全体で、人体の健康や環境にとって安全で新たなナノマテリアルの開発と、タイヤへの利用に関するベストプラクティスの枠組みの概略をまとめている。
一方、LCAを実施するためのPCR策定については、より具体的なガイダンスに沿ったLCAを可能にする基準の公表を計画している。
報告に関する共通指標の策定に関しては、TIPはタイヤの生産に関する4つの指標を策定。4つの指標とはCO2排出量とエネルギー消費量、取水量、ISO14001認証で、これらはTIP参加企業のグループ全体としての進捗を示すものとなる。
ELTの管理については、タイヤを埋め立てずに有効利用へと転換することや、中国やロシアでELTがどう管理されているかを理解する活動などを行っている。
TIPは05年に設立された。「持続可能な発展のための世界経済人会議」の下で活動し、タイヤがそのライフサイクで、人体の健康や環境に及ぼし得る影響を特定し、解決することを目標としている。なお、TIPに参加する企業のタイヤ生産能力は、世界の約65%に相当する。