日立造船は10月15日、ポリ乳酸に独自開発のバイオポリマーであるトチュウエラストマーを添加することによる改質研究を行ってきたが、このほど、耐衝撃性と引張特性を向上させることに成功したと発表した。
代表的なバイオ素材であるポリ乳酸は、石油由来の合成プラスチックに比べ衝撃強度が低いことが課題だった。同社のトチュウエラストマーは、杜仲の木より抽出・精製したバイオポリマーであり、市販のポリ乳酸に比べ約20倍の衝撃強度を有する。そこで、同社ではポリ乳酸にトチュウエラストマーを少量添加することによる耐衝撃性の向上に取り組んできた。
市販品のポリ乳酸にトチュウエラストマーを1%添加した場合、耐衝撃性が1・4倍向上し、市販の耐衝撃性ポリ乳酸に相当する特性を有する。また、同様にトチュウエラストマーを5%添加した場合、耐衝撃性が2・4倍、引張特性(破断ひずみ率)が8倍に向上し、現在、自動車部品や家電製品などに広く使用されているポリプロピレンと同等以上の耐衝撃性と引張特性を有している。
ポリ乳酸はこれまで食品トレイやレジ袋等の強度を必要としない用途に限定されていたが、トチュウエラストマーの添加による耐衝撃性と引張特性を向上により、強度を必要とする自動車や家電製品の素材への用途拡大が見込まれる。
同研究開発の一部は、NEDO助成事業「非可食性植物由来化学品製造プロセス技術開発」により進めており、同社ではトチュウエラストマーを石油資源に替わる植物由来のバイオマス資源として活用し、低炭素化社会の実現を目指す。