IRSG対応委を設置
「経営指数」調査結果を報告
日本ゴム工業会は10月23日、大阪市北区のホテル阪急インターナショナルで第6回幹事会を開催し、ゴム製品の生産・輸出入概況や昨年度の会員企業の経営指数調査結果などを発表した。
幹事会の冒頭、あいさつに立った南雲忠信会長は「昨今のゴム工業会を取り巻く状況は、今ひとつはっきりしない状況という風に皆さんも感じておられるのではないか。景気も回復基調にあると言われているが、感じ方は各社様々であるだろう。それぞれが置かれた状況を冷静に把握し、周囲に惑わされず、適切にかじ取りをしていく必要がある。一方で環境問題などの課題はますます増加している。世界規模の議論の流れを事前に察知し、しっかりとした対応を行っていく必要がある」と述べた。
IRSG対応委員会の設置については、国際機関としてのプロジェクトが進行しており、その内容が個々の企業活動に影響してくる可能性があること、IRSG以外の海外団体との関係についても、今後ますます重要になってくると考えられていること、今後も課題を把握し、適切に対応していくことなどを示していた。
各委員会からはIRSG対応委員会の設置につて、ゴム製品の生産及び輸出入概況、会員企業の経営指数調査結果、労務委員会関係事項などが報告された。
経営関係事項
工業用品減収減益に
平成26年度会員企業経営指数調査は、昭和42年に開始されて以来、今回で49回目。
調査は平成27年6月。会員企業107社を対象とし、このうち回答企業78社を集計。
78社の業種別内訳は自動車タイヤ4社、工業用品46社、はきもの5社、その他23社で、従業員別内訳は、従業員数3千人以上が5社、1千人から3千人未満7社、3百人から千人未満18社、百人から3百人未満37社、百人未満21社という内訳。
中小企業基本法の定義による規模別では、大企業が24社、中小企業54社となっている。
26年度の全従業員数は、6万2021人で、このうち大企業に属する人数は5万4532人で85%が大企業に属していることになる。
集計項目としては、回答企業単体の平成26年度決算数値を対象として収益性、資本構成及び生産性に関する11種目の指数を集計。
これによると、増収企業は48社(63%)、減収企業は30社(38%)となり、増益企業は44社(56%)、減益企業は34社(44%)で、22年度から4年連続で増収増益となった。
78社のトータル売上高は3兆5952億円、前年対比0.7%の微増。自動車タイヤ(4社)の売上高が2兆712億円、同1・9%増、工業用品(46社)は1兆809億円、同2・1%減、はきもの(5社)は414億円、同3・5%増、その他(23社)4017億円、同2・1%増となっており、工業用品のみが落ち込んだ。
経常利益についてはトータルで4690億円、同2・8%増。自動車タイヤが3598億円、同4・9%増、工業用品830億円、同6・3%減、はきもの4億円、同79・7%増、その他258億円、同5%増となっており、工業用品の経常利益の低下が目立つ。
また、はきものは大きな伸びを見せているが前年度が低調であったことによる反動。
売上高経常利益率については、総平均が13%(前年度12・8%)。自動車タイヤが17・4%(同16・9%)、工業用品7・7%(同8・0%)、はきもの1・0%(同0・8%)、その他6・4%(同6・3%)となっている。
環境関係事項
CO2削減目標を達成
「VOC排出削減に関する自主行動計画」のフォローアップ結果については、2014年のVOC排出量は、7914tと2000年度比64・4%の削減となり、目標を14・4pt上回った。
2014年度に目標を達成した会社は23社で、原単位指数は2000年度比36・9となり、着実に成果を上げている。これは、各社が取り組んだ溶剤の転換・水性化、回収装置の導入、使用料の削減等の努力の結果である。引き続き、排出量ならびに原単位の削減努力を続けていく。
CO2削減に関するフォローアップ結果については、CO2排出原単位は、2005年度比90・6%となった。目標値は2005年度比85%。
2014年のCO2排出原単位(新ゴム量あたり)は、前年度に比べて僅かに上昇したが(基準年度比+0・6ポイント)、燃料転換を進めているところから、引き続き1割近く改善している。
生産量の減少(前年度比98・2%)に伴い、エネルギー使用量(同98・4%)およびCO2排出量(同98・9%)も減少したが、エネルギー原単位は省エネ努力等の継続によりほぼ横ばいとなった(基準年度比+0・1ポイント)。
労務関係事項
妥結額は前年比6%増
2015年夏季賞与・一時金の妥結状況(10月23日中間集計、事務局試算分)のうち、自動車タイヤ4社については、2014年妥結額は83万3048円で、前年度比5・51%増となった。
工業用品27社は70万618円で、同2・10%増、はきもの4社は30万8621円で、同5・36%増。その他11社は64万9234円で、同1・07%減。46社平均では76万4604円で、同3・95%の増加となっている。
なお、同試算は情報交換参加会員50社のうち集計可能な46社を集計対象にした妥結額平均(加重平均)として算出した。
厚労省(民間主要企業)・経団連(大手企業)・同会の夏季賞与・一時金妥結の推移(06~15年)では、同会の場合、06~08年はほぼ同水準で推移し、09年に減少したものの、その後は回復基調にある。
一方、経団連の数値は06~08年に上昇し、09年に下がって、その後上昇。厚労省の数値も基本的に大手企業のものなので、経団連とほぼ同じような推移になった。
06~15年の夏季賞与・一時金の伸び率については、同会・経団連・厚労省とも09年は大幅減で、経団連・厚労省は12年もマイナスだったのに対し、同会はプラスだった。
情報交換参加会員50社のうち、集計可能な45社の2015年春季労使交渉の妥結結果(最終集計分)は、総平均6519円でほぼ前年並みの水準となった。
資材関係事項
ナフサ価格緩和傾向
〈原油・ナフサ価格の推移〉
資材関係の動向については、10月23日現在のデータが資料報告の形で紹介された。
原油相場は、需給面ではOPECの増産基調やイランの輸出拡大の一方、需要停滞を背景に、引き続き緩和傾向にある。
8月以降の月間平均値は、WTI、ドバイ原油ともに50ドルを下回る水準で推移している。
ナフサ価格も原油価格に連れ、8月以降のオープンスペック価格は4万円を下回っている。
国産ナフサ価格は、15年1~3月期は4万7000円の横ばい、4~6月期は4万8800円(前期比1800円増)と、微増した。
7~9月期は4万7000円前後となり、10~12月期は、現状の見通しではさらに下落すると見られている。
〈アジアブタジエン市況とナフサ価格〉
ブタジエンのアジア市況は、昨年は中国での需要減速の影響で下落した。
今年は1月を底に5月までナフサ価格が上昇傾向を示したことや、域内のクラッカーの定修入りから供給が絞られ、6月には1345ドルまで上昇した。
その後はナフサ価格の下落や、合成ゴム需要の停滞を背景に下落し、9月は908ドルまで下がった。
年平均では、昨年は前年に比べドルベースでトン当たり189ドルのマイナス、円換算でキロ当たり8円のマイナスとなった。
今年は1~10月でさらにトン当たり356ドル低下、キロ当たり23円下がっている。
天然ゴムの需給状況については、大きな変化はなく、8月以降の月間平均値では、200円を下回る水準で推移している。
生ゴム営業倉庫在庫は、6月以降下落傾向にあり、9月20日現在、前月末比1072t減の1万2184tとなっている。
〈日銀企業物価指数の動向〉
14年10月~15年9月の日銀物価指数(速報値)によると、15年第3四半期のナフサ価格は、前期とほぼ同水準となっている。
合成ゴムは、9月は前月比0・1%増となっているが、前年同月比では11・8%上昇。カーボンブラックは同9・3%減となった。
天然ゴムは6月をピークに下落。9月は前月比比9・5%減、前年同月比9・8%減となっている。
〈主要原材料・燃料類の動向〉
主要原材料・燃料類の10~15年(9月までの平均)の動向によれば、天然ゴムは13年、14年に続き下落。
合成ゴムは13~14年のほぼ横ばいから下落した、カーボンブラックも下落している。
A重油は大幅に下落、ガスも下落傾向にあり、電力は横ばいとなっている。
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