東京モーターショー プレスデー2日目となる10月29日、タイヤメーカー各社がプレスカンファレンスを行い、新製品やコンセプトタイヤ、活動方針などを紹介した。
ブリヂストンのプレスカンファレンスでは、ブリヂストンタイヤジャパンの清水実社長が登壇。プレミアムタイヤに新たに軽自動車用を追加し、2016年春に発売することを発表した。
清水社長は「軽の多様化は非常に目覚ましいものがあり、ミニバン、SUV、スポーツ、プレミアムといったプレミアム軽と言われる車は、200万~250万円もする。このような中で、軽サイズでもプレミアムタイヤが欲しいという声がたくさん寄せられている」と、開発の背景を述べた。
清水社長によれば、軽自動車は普通車に比べ、タイヤが1・2倍回るため、偏摩耗性能と乗り心地の両立は非常に難しいとのことだが、「軽タイヤのプレミアム市場を創造していきたい」と意欲を語っていた。
また、今年新製品を発売したレグノの売上が大きく伸長していることも明らかにし、1~9月の販売実績は昨年度の1・5倍に達しており、特にコンパクトカー向けの売上が2・5倍になっているという。
住友ゴム工業は池田育嗣社長がプレスブリーフィグを行い、新材料開発技術「アドバンスド4D・ナノ・デザイン」を採用したコンセプトタイヤ「耐摩耗マックストレッドゴム搭載タイヤ」を初披露した。
新タイヤは燃費性能とグリップ性能を維持したまま耐摩耗性を200%向上させたコンセプトタイヤ。
アドバンスド4D・ナノ・デザインを採用することにより、ナノからミクロンレベルまで、ゴムの内部構造を連続的かつ鮮明に解析し、シミュレーションすることが可能となった。
これにより、ゴム内部のストレスや発熱を発生させている原因を俯瞰して全体構造から分析することができる「ストレスコントロールテクノロジー」を確立。タイヤの相反性能である低燃費性能、グリップ性能、耐摩耗性能の大幅な向上が見込めることとなった。
池田社長は「ゴムが変形してストレスがかかるとゴム分子に隙間ができ、摩耗の原因となるボイドという黒い空間が発生することが、ストレスコントロールテクノロジーを使ってわかった。ストレスをコントロールすることにより、ボイドの発生を抑制するタイヤを開発することができた」と説明した。
今回のコンセプトタイヤは耐摩耗性能の向上に特化させたが、今後はストレスコントロールテクノロジーの活用により、タイヤの三大性能全てをコントロール、向上させていくとし、「さらに材料開発のスピードを上げ、今後も高性能で経済性と環境性に優れたタイヤを届けていく」(池田社長)方針を示した。
横浜ゴムはプレスカンファレンスで、2016年からスーパーフォーミュラへ「ADVAN」レーシングタイヤのワンメイク供給を開始すると発表した。
トップフォーミュラへのタイヤ供給は、1997年に他社製タイヤのワンメイクとなって以来、約20年ぶりとなる。
F3000に供給するタイヤの開発を担当していた野地社長は「スーパーフォーミュラのタイヤへの性能要求は非常に高い。走りの性能はもちろん、省燃費、安全性、運動性能の両立など市販タイヤにも活かせる様々な技術を向上することができるだけでなく、トップフォーミュラにタイヤを供給することにより、今後どのようなカテゴリーにも対応できる技術力がつく」などと供給理由を挙げた。
全日本レースプロモーションの中嶋悟取締役社長は、2016年4月の開幕に向けて「スーパーフォーミュラが益々盛んになることを祈っています。ファンの皆さんに喜んでもらえるレースを見せることを誓います」と意気込みを語った。
供給されるタイヤは、オレンジオイル配合技術により、優れたグリップ性能を維持しながら環境性能も高めた「ADVAN A005」と、ウエット用の「ADVAN A006」。
また、今シーズンからユニフォームスポンサーとなっている「チェルシーFC」とのパートナーシップを記念したタイヤ「BluEarthーA CHELSEA FC EDITION」の発表も行なった。
野地彦旬社長はチェルシーFCとのパートナーシップについて「これまでのクルマファン以外にもヨコハマタイヤを知ってもらい、さらなるグローバル展開の切っ掛けとしたい」と述べ、記念モデルについては「チェルシーのロゴがタイヤサイドに入ってる。世界に5億900万人いるチェルシーFCファンに対して、サポーターの仲間入りをしたという気持ちを込めて作ったタイヤ。国内はもちろんチェルシーファンの多い海外でも期間限定で発売する」と説明した。
ゲストとして招かれたチェルシーFCのマネージングディレクターを務めるクリスチャン・パースロー氏は「横浜ゴムは素晴らしい技術、高い志を持った企業。我々と一緒に世界に出て共に成長していきたい。
日本はチェルシーFCにとっても重要なマーケット。日本でのチェルシー人気が更に高まることを期待する」と横浜ゴムとのパートナーシップについて語った。
記念タイヤは日本はじめ、欧州、アジア、南米などで順次限定販売する。
日本グッドイヤーは、ブースにテレビプロデューサーのデーブ・スペクター氏を特別ゲストに招き、マイク・リトコスキーアジア地区副社長が日本初公開となる2つのコンセプトタイヤを披露した。
公開されたのは、タイヤの発熱と走行時の圧力を電気に変換する発電タイヤ「BHー03」と路面状況に応じてタイヤが変形するモーフィングタイヤ「トリプル・チューブ」の2本。
マイク・リトコスキー副社長は「間違いなく自動車の電気化は進んでいく。それなら、タイヤから電気を供給できないかと考えたのが発案のきっかけになった」と発電タイヤを紹介。モーフィングタイヤでは「まだ全自動でタイヤを変形することはできないが、かなりワクワクするタイヤ」だと話した。共に「製品化はまだ先の話」とのことだが、夢のある未来のタイヤを提案した。