東洋ゴム工業は10月30日、一般産業用防振ゴム部品の不実記載に関連して、対象期間を2004年以前に広げて追加調査したところ、新たに2品番で問題行為があったことを確認し、国土交通省と経済産業省に報告したと発表した。
同調査では、製造物責任法やISOに基づき、東洋ゴム化工品明石工場が定めている記録保管期間(10年)より過去にさかのぼり、最終的に記録が存在した1999年から04年まで、一般産業用防振ゴム部品(船舶用、鉄道車両用、建設機械用、その他産業用)を対象に記録の照合を行なったもの。
調査対象は同期間に製造・販売した1378品番で、出荷製品は合計2094万0975個。このうち、2品番の2880個に問題が見つかった。
これらの製品以外に、同工場で製造している防振ゴム分野の製品(産業機械用空気ばね、鉄道車両用空気ばね、ゴムホース等)についても、同期間の調査を行ない、該当する問題行為がなかったことを確認している。
10月14日の公表時点で「納入先との仕様書の再確認が必要」としていた81品番、1万2702個についての確認調査では、79品番の1万160個に問題がなかったものの、2品番の2542個には不実記載のあったことが判明した。
一方、当初公表した問題製品189品番の8万7804個のうち、27品番の3万3878個は、不実記載の事実がないにもかかわらず、問題製品として計上されていたことが精査によって分かった。
同社ではこれらの判明事実を総合し、一般産業用防振ゴム部品の不実記載が行なわれた製品の品番と出荷個数を集計し直した。
その結果「05~15年を対象とした調査結果による189品番8万7804個」「99~04年を対象とした調査結果の2品番2880個」「納入先との仕様書の再確認結果による79品番1万160個」「前回調査の精査結果による27品番3万3878個」、合計で「83品番4万6646個」となった。
なお、今回の追加調査などの結果、問題製品の納入先数は、最終的に15社となる。
不実記載のあった全83品番に使用されているゴム材料については、自社による再現試験と、外部第三者機関への検査依頼を実施。納入先へこれらの物性評価(試験結果)の説明を進めるとともに、問題製品が使われている最終完成品の安全性について、確認の協力要請を引き続き行なっていく。
これまでに問題製品に関わる不具合報告や事故などの報告はないが、どういった最終完成品に使用され、具体的にどういった部位に用いられているかの把握も引き続き進める。
原因究明については、関係者へのヒアリング調査などを実施してきたほか、同社と利害関係のない外部の法律事務所に相談のうえ、調査についての協力を得ながら進めている。問題の経緯・原因を、11月末をめどに究明、整理し、12月中旬をめどに再発防止策等をまとめ、報告する予定だ。
さらに、同社がこれまで行なった緊急品質監査と、品質・コンプライアンス調査双方の監査手法について、外部の専門コンサルティング機関に相談し、改めて監査手法・体制を再構築し、全事業を対象に再監査に取り組む。
同社は、現時点でこの問題に関連して起こり得る費用発生に対し、想定材料が不十分であるため、業績への影響についての算定はできないとしている。今後、業績に与える影響が判明次第、公表する予定である。