東海カーボンの1~9月期 減収も営業・経常益が2桁増

2015年11月04日

ゴムタイムス社

 東海カーボンの2015年12月期第3四半期連結決算は、売上高が804億9700万円で前年同期比5・0%減、営業利益は35億4800万円で同44・4%増、経常利益は36億2500万円で同36・5%増、四半期純利益は14億3300万円で同12・0%減となった。

 主力製品であるカーボンブラックで、原料油価格低下により売価が下落し、主要市場の日本とタイへ安価な中国品が流入したこと、黒鉛電極では需給の不均衡による不況構造が解消されていないことなどにより、減収となった。

 セグメント別では、カーボンブラック事業は、国内では消費増税前の駆け込み需要の反動や、4月の軽自動車税引き上げの影響により、対面業界である自動車とタイヤ出荷量が前年同期を下回って推移したため、カーボンブラック需要も低調だった。

 またカーボンブラック原料油の価格下落に伴い、製品価格改定を行った影響や、国内外の市場への安価な中国製品の流入により、昨年5月に連結子会社化したカンカーブ社の業績を加えても、売上高・営業利益ともに前年割れとなった。

 この結果、カーボンブラック事業部門の連結売上高は同9・4%減の365億2700万円、営業利益は同43・4%減の12億7700万円となった。

 炭素・セラミックス事業部門のうち、黒鉛電極は、粗鋼生産が国内外とも前年同期比マイナス基調が継続。前年同期比プラスの国は限られ、昨年好調だった米国などもマイナスに転じた。

 世界最大の粗鋼生産国である中国は、成長減速により粗鋼生産が低下しているものの、従来以上に輸出を増加させ、世界全体の鋼材市況と粗鋼生産に大きな影響をもたらした。対面業界の電炉鋼生産にもその影響が拡大し、黒鉛電極の需要を下押しした。

 この結果、販売数量・売上高とも低下し、円安効果は受けたものの、黒鉛電極の売上高は前年同期比9・9%減の202億3500万円となった。

 ファインカーボンについては、半導体市場は好調を維持し、黒鉛材の市況は全般的に緩やかな回復基調を維持した。

 しかしながら、需給バランスは依然として供給過剰が続いており、厳しい価格競争が継続した。

 欧州では、一般産業向けに一定量の黒鉛需要を確保したものの、厳しい価格競争にさらされ、韓国でも価格競争により、黒鉛需要を捕捉しきれなかった。

 北米では半導体・ポリシリコン向けを中心に販売は堅調で、国内も厳しい価格競争の中、販売は底堅く推移した。

 中国では太陽電池需要の回復に伴い黒鉛需要も盛り返してきたが、直近では景気後退の影響を受け、今後の黒鉛需要には不透明感が見られた。

 この結果、ファインカーボンの売上高は同8・7%増の115億3900万円となった。

 これらにより、炭素・セラミック事業部門の売上高は同3・9%減の317億7400万円となったが、営業利益はコスト低減や為替差益などにより、同354・6%増の23億3500万円となった。

 工業炉及び関連製品事業部門は、主要な需要先である情報技術関連業界で一部に回復の兆しが見られたことから、主力製品である工業炉の売上高は前年同期比増となった。

 発熱体その他製品の売上高は、中国ガラス業界の需要が低調に推移したものの、一部の主要電子部品業界を筆頭に、熱処理関係の需要が堅調に推移したため、前年同期比増となった。

 この結果、工業炉及び関連製品事業部門の売上高は同12・9%増の38億1500万円となり、営業利益は同9・0%減の4億2500万円となった。

 その他事業部門のうち、摩擦材は、主要な需要先である建設機械向けの需要で、従来からの低迷状況が一段と悪化し、前年同期を下回った。

 商用車向けの需要もインドネシア市場の不振を受け、前年同期比減。一方、ロボットなどの産業機械向けの需要は好調に推移し、前年同期を上回った。

 この結果、摩擦材の売上高は前年同期比2・4%減の62億2200万円となった。

 不動産賃貸等その他の売上高は、リチウムイオン二次電池用負極材の販売数量が増加したことにより、同38・6%増の21億5800万円となった。

 これらにより、その他事業部門の売上高は同5・6%増の83億8000万円となり、営業利益は同85・9%増の4億3800万円となった。

 通期の業績予想については、7月31日に発表した前回予想を修正。売上高は1060億円で前期比7・5%減、営業利益は48億円で同29・6%増、経常利益は50億円で同19・6%増、当期純利益は21億円で同18・0%減とし、売上高は下方、利益についてはいずれも上方修正となっている。

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