横浜ゴムは11月16日、最新の液晶タッチパネル工法に対応した高濡れ性アンチブロッキングコート材「HR370」シリーズを開発したと発表した。
「HR370」シリーズは、アンチブロッキング性に加え、高い透明性と、印刷や粘着加工に対する優れた加工適性(高濡れ性)を持たせたことが特徴。フィルムを巻き取る際や、ロール保管中にフィルム同士が密着してしまう「ブロッキング」を防止するため、微粒子によって塗膜表面に凹凸を形成するアンチブロッキング性を付与している。一般的に表面の濡れ性を高めるとアンチブロッキング性が低下するが、独自の粒子配合技術により高い濡れ性と優れたアンチブロッキング性の両立に成功した。
スマートフォンなどの小型液晶タッチパネルの内部は、偏光板や液晶ディスプレイ(LCD)などが積層された液晶層と、光学透明テープ(OCA)や透明導電性フィルムなどを積層したタッチセンサー層からなっており、ハードコート材はタッチセンサー層のフィルムをコーティングするために利用されている。最近は視認性を向上させるため、液晶層とタッチセンサー層の間の空気層(エアギャップ)の代わりに、光学透明樹脂(OCR樹脂)を用いる工法(ダイレクトボンディング)が主流になりつつある。工法の変化に伴い、ハードコート材には優れた光学特性はもちろんのこと、OCAやOCR樹脂といった周辺部材との密着性能が求められている。なお、同製品は既に一部の機能性フィルム加工メーカーに対して提案を開始している。