2015年ゴム業界の10大ニュース 米経済が牽引し堅調に推移

2015年12月14日

ゴムタイムス社

 15年のゴム業界をめぐる事業環境は、国内市場は低調、海外も中国や東南アジアが全体的には減速している中で、米国経済の堅調さが際立つ形となった。これに、原油安による原料価格の低下と円安効果が加わり、主要上場ゴム企業23社の15年3月期決算では、利益面では伸び悩んだものの、21社が増収。逆に16年3月期中間では、増収企業は18社にとどまったが、営業増益・経常増益企業数は前年同期に比べほぼ倍増した。一方、タイヤ4社は、14年12月期は各社とも売上・営業利益が過去最高を更新したのに対し、15年12月期中間では利益項目で明暗が分かれている。

 ▼上場ゴム企業の15年3月期は9割が増収に
 合成ゴム大手2社(JSR、日本ゼオン)を含む主要上場ゴム企業23社の15年3月期連結決算は、増収企業数が21社(91%)に上った。

 ▼住友ゴムがグッドイヤーとの提携解消に合意
 住友ゴム工業が6月4日、米グッドイヤー社とのアライアンス契約と合弁事業の解消について、合意に達したと発表した。

 ▼東洋ゴムの免震・防振ゴムで不正が発覚
 東洋ゴム工業は3月13日、子会社が製造・販売した「高減衰ゴム系積層ゴム支承」の一部が大臣認定の仕様に適合していないことが判明したと発表した。その後、一般産業用防振ゴム部品に関しても、2品番で問題が見つかっている。

 ▼国内拠点の位置付け明確に
 ゴム関連産業の国内拠点が、単に高品質の製品を生産するだけでなく、研究開発に重点を置いたり、海外生産設備のマザー工場として位置付けられたりするといった動きが明確になった。

 ▼日本ゼオンのCNT量産工場が竣工
 日本ゼオンは11月11日、同社徳山工場(山口県周南市)の敷地内に建設し単層カーボンナノチューブ(CNT)量産工場の竣工式を開催した。スーパーグロース(SG)法を用いた単層CNTの量産工場は世界初。

 ▼タイヤ各社が営業益で過去最高を更新
 国内タイヤメーカー4社の14年12月期連結決算は、円安と天然ゴムをはじめとする原料安を追い風に、原油価格の下落と年末の降雪で冬タイヤが売れたこともあって、前年に続き売上高・営業利益で過去最高を更新した。

 ▼ゴム関連28社の約半数で海外売上が5割超に
 本紙がまとめたゴム関連企業28社の2014年度海外売上高比率によると、25社が前年度実績を上回るか横ばいだった。海外売上高比率が5割を超えた企業数は、半分近い13社に上った。

 ▼タイヤ開発で相次ぎ新シミュレーション技術
 住友ゴム工業は10月29日、ゴムを分子レベルで忠実に再現したシミュレーション解析が行える新材料開発技術「アドバンスド4D・ナノ・デザイン」を完成させたと発表。横浜ゴムも12月2日、ゴム材料の多目的設計探査シミュレーション技術を開発したと発表した。

 ▼10月の輸入ナフサが5年ぶりに4万円割れ
 財務省が発表した10月分の貿易統計(速報)によると、輸入ナフサ価格は3万9118円/klで前月比1755円安となり、4ヵ月連続で下落。輸入ナフサ価格が4万円を割り込んだのは、およそ5年ぶり。

 ▼主要ゴム企業の中間決算で営業増益が倍増
 合成ゴム2社を含む主要上場ゴム23社の3月期決算第2四半期連結決算は、増収企業は18社にとどまったものの、営業増益は20社、同減益は3社、経常増益は18社、同減益は5社となり、前年同期に比べ営業増益・経常増益企業数がほぼ倍増した。

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