【新春トップインタビュー】藤倉ゴム工業 中光好社長

2016年01月04日

ゴムタイムス社

 藤倉ゴム工業は売上高の6割以上が国内。中光好社長は「海外展開のためにも国内実績を大切にしたい」と考えている。一方で、売上が伸びている海外市場もさらに強化していく方針で、既存製品の拡販や新拠点の立ち上げを計画している。

◆15年を振り返って、業種別の状況は
 工業用品・制御機器・電材から成る産業用資材のうち、工業用品が50%、さらにその60%を自動車関連が占めた。その結果、対前年比で売上・利益とも改善した。制御機器については、堅調に伸びており、電材も着実に利益が出ている。
 引布は対前年比でほぼ横ばい。加工品は主力の救命いかだの競争が激化し、利益面で厳しい現状だ。印刷材料関連では、対前年比で売上・利益ともに上回ることができた。
 スポーツ用品では、ゴルフ用カーボンシャフトが大幅に伸長した。アウトドア用品の主力キャラバンシューズは登山ブームの沈静化で動きが鈍り、ウェアも暖冬の影響で停滞し、円安の影響による材料費の高騰もあって、キャラバンは苦戦している。スポーツ用品は、シャフトがアウトドアをカバーし切れず、全般に厳しいのが現状である。

◆足元の状況と通期の見込みについて
 国内は、単体では伸びたが先行き不透明感が依然強い。海外は概ね好調。現段階での売上構成比は、国内64%、北米・アジア36%。海外は対前年比で127%と伸びが目立つ。
 中国に関しては、杭州と安吉に子会社があるが、現状では景気後退の影響は少ない。15年の予算には届かないものの、前年の売上・利益を確保できる計画だ。
 ベトナムは14年7月に第二工場が稼働、堅調ではあるが、東南アジアも停滞傾向で見通しがはっきりしない。アメリカについては14年の売上には及ばないものの利益を確保している。
 通期では、売上・利益ともにほぼ計画通りか、若干プラスとなる見込み。計画では下期を膨らませて上期を抑え気味にしたため、上期は売上・利益ともに上振れした。

中社長◆新製品の開発について
 今後、自動車関連の需要の減退が予想されるなか、新たな製品で支えていく必要がある。マグネシウム電池などゴム以外の分野でも新製品を早期に上市して実績を上げたい。15年11月に発表した熱膨張断熱ゴムは、自動車以外にも用途開発の可能性があり期待できる製品。お客さまからの反響がよく、今後の売上に寄与できそうだ。

◆御社の強みについて
 自動車、弱電、半導体、印刷、エネルギー、スポーツなど多様なマーケットをカバーしている点。一方で市場参入が広く浅くなる傾向があり、個々の市場での占有率をいかに高めるかが課題になる。

◆国内・海外の戦略は
 国内は縮小傾向だが、海外展開のためにも国内での実績を大切にしたい。国内では、既存製品の市場参入を深耕させるとともに、新製品展開を図っていく。一方、海外では既存製品の拡販に注力していきたい。近々新拠点を構える計画があり、第一候補として、すでに出しているベトナムが検討中だ。南米については、米国法人が中心となってマーケティングを進めている。

◆16年度のスローガン
 14年度からの3ヵ年中期計画では「『イキオイ』を持って」を掲げた。その最終年度となる16年度は「広く深く」を加え、新製品で市場を開拓するとともに、さまざまな分野で既存製品の市場を深堀していきたい。

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