転写不要で接着性が向上
工業用ゴム製品の開発・成形加工をはじめ、自動車用フッ素ゴムパッキングなどの製造を行う中島ゴム工業㈱(福岡県久留米市、中島幹雄社長)はこのほど、新製品「加硫接着剤フィルムACULAH PAD」を開発し、販売を開始した。
同社が現在、拡販している「加硫接着剤フィルムACULAH」は接着対象物上で熱と圧力をかけて転写することにより、上塗りと下塗りの2層を有する接着剤を一度で塗工できるようになった製品だが、新製品は転写の必要がなく、ゴム生地と金属の間に新製品を挟み込み金型などに入れて加硫接着や成形することを実現した。その結果、ACULAHと同様に、作業時間の短縮・コスト削減に貢献する製品となっている。
開発の背景について、中島社長は「ゴムロール企業様を訪問した際に、大きなロールだと余熱がかかりにくく、転写が大変だという声を聞き、その課題に対して開発を行った」と語り、新製品はACULAHよりも接着性と耐久性が向上し、ローラーシャフトなどの転写方法において転写がし難い形状にもシャフトなどに巻きつけて固定可能になったという。
主な特長は、転写が不要なため接着剤の転写の難易さを選ばずに使用できること。製品用途は、金属が大きくて予熱が難しい、ゴムロールや防舷材などや基布を予備成型することで相手の金属形状に合致した接着が可能なため、オイルシール、防振ゴムブッシュ、エンジンマウントなどの量産に最適だという。
そのほか、基布が加硫接着後、ゴムの中で接着界面の補強材として働くことで、接着力・耐久性を向上させることが可能になった。
またACULAHの持つ性能と同じく、新製品もVOCの発生がないため、作業用マスク・排気設備などが不要。接着剤塗布用スプレーをはじめ刷毛、焼付乾燥用オーブンなどの設備も不要となるなど設備コストの削減も訴求している。
今後の展望としては、「ビル免震や橋梁免震などの免震ゴム、次に産業用といったところから攻めいていく」(中島社長)とし、近い将来には大手企業様と組んで実績を作り、自動車部品についても様々な提案をしていく計画だ。
新製品について、現状でもACULAHは高い評価を得ているが、中島社長は「用途によって、ACULAHとACULAH PADを使い分けてほしい」と述べ、実際の製品試験を行って顧客に安心して使ってもらい、実績をつけていきたいと考えている。
同製品に関する問い合わせは同社(0942―37―1500)および三井物産プラスチック㈱(03―6328―5031)まで。
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