宇部興産は1月21日、山口県宇部市の同社宇部ケミカル工場(以下「宇部工場」)において、シクロヘキサノン(カプロラクタム中間原料。以下「アノン」)の製法転換を決定したと発表した。
同社は、ナイロン・カプロラクタムチェーンの構造改革による収益改善を図るため、カプロラクタムの抜本的なコストダウンや、ナイロン6の生産能力増強に伴う自家消費比率向上を進めている。
その一環として宇部工場ではアノンの製法革新を検討してきたが、このたび年産8万tの新工場を建設し、アノンの製法をフェノール法へ転換することを決定した。新工場の完成は2017年11月を予定している。
新たに導入する製法は、フェノールを選択水添してアノンを得る製法。現在の製法と比較し、工程が短く、工場もコンパクトになり、原料からアノンへの収率が高いといったメリットがある。また、スチームと電力の使用量も削減でき、温室効果ガスの排出削減にも寄与する。
なお、製法転換により、宇部工場での1,6ヘキサンジオールおよび1,5ペンタンジオールは生産停止し、タイの子会社(ウベ・ファイン・ケミカルズ(アジア))からの輸入販売で供給を継続する。
同社は、ナイロン6の事業拡大戦略を推進しており、押出用途(食品用フィルムなど)では、品質優位性・安定性を武器にグローバルNo・1を目指し、射出用途(自動車部品など)では、コンパウンドの拠点を拡大し世界供給体制構築を図っている。
今回のフェノール法アノンへの製法転換により、ナイロン6原料としてのカプロラクタムのコスト競争力を強化することで、ナイロン6事業の更なる拡大を目指す方針。