クラレの2015年12月期連結決算は、売上高が5217億2100万円、営業利益は660億7700万円、経常利益は645億3500万円、当期純利益は357億4900万円となった。
14年12月期から決算日を3月31日から12月31日に変更したため、厳密には前期との比較とは言えないが、当期に対応する前年同一期間との参考比較では、売上高は7・6%増、営業利益は28・6%増、経常利益は26・6%増、当期純利益は30・2%増となっている。
セグメント別では、ビニルアセテートの売上高は2747億4600万円で前年同期比15・6%増、営業利益は557億4000万円で同20・7%増となった。
光学用ポバールフィルムは、液晶パネルの数量増と大型化により販売量が増加。ポバール樹脂は総じて順調に推移した。PVBフィルムは、中国・南米向けが伸び悩んだが、その他の地域でカバー。水溶性ポバールフィルムは、旺盛な需要を背景に、順調に拡大した。
EVOH樹脂「エバール」は自動車ガソリンタンク用途・食品包装用途ともに順調に推移した。
イソプレンの売上高は549億8500万円で同1・3%減、営業利益は69億2200万円で同8・1%増だった。
イソプレン関連ではファインケミカル、熱可塑性エラストマー「セプトン」、液状ゴムが中国の景気減速の影響を受けた。
耐熱性ポリアミド樹脂「ジェネスタ」は、自動車用途は順調に拡大したが、LED反射板用途とコネクタ用途は、中国の景気減速の影響を大きく受けた。
機能材料の売上高は568億7900万円で同5・7%増、営業利益は55億6400万円で同185・0%増となった。
メタクリルは一部樹脂用途で需要が減少したが、高機能品へのシフトなどにより順調に推移した。
メディカルは歯科材料の新製品の上市が寄与し、販売が拡大。人工皮革「クラリーノ」、既存プロセス品・新プロセス品ともに好調に推移し、収益が拡大した。
繊維の売上高は463億4400万円で同2・7%減、営業利益は41億800万円で同43・1%増。ビニロンが高付加価値用途へのシフトもあって好調に推移し、生活資材他の伸び悩みをカバーした。
トレーディングの売上高は1196億4000万円で同0・3%増、営業利益は38億8200万円で同0・1%増だった。
化学品関連事業は概ね堅調に推移。繊維関連事業は円安で海外加工費が上昇したが、高機能素材の拡販によりカバーした。
その他の売上高は696億100万円で同1・3%増、営業利益は27億7300万円で同6・7%増。その他事業は一部で中国の景気減速の影響を受けたが、エンジニアリング事業の貢献もあり、堅調に推移した。
16年12月期の連結業績予想は、売上高が5400億円で前期比3・5%増、営業利益は700億円で同5・9%増、経常利益は680億円で同5・4%増、親会社株主に帰属する当期純利益は400億円で同11・9%増を見込んでいる。