鬼怒川ゴム工業は3月11日、同日開催の取締役会において、㈱VGホールディングス第一号による同社の普通株式および新株予約権に対する公開買付け(TOB)について、賛同する旨の意見表明を決議した。
併せて同社は、同TOBおよびその後の一連の手続により、同社の株式が上場廃止となる予定であることを明らかにした。
VGホールディングス第一号は、日本政策投資銀行(DBJ)により、同TOBを実施し、同社事業を支配・管理することを主たる目的として、今年1月に設立された子会社。今後、DBJグループは7月上旬にTOB期間が30営業日以上になる日程で、同TOBを開始することを予定している。買付予定価格は1株につき780円。なお、DBJグループは買付予定数の上限を設定しておらず、同社の全株式取得を予定しているため、その場合には上場廃止基準に従い、上場廃止となる。
同社によれば、DBJグループから同TOBの提案を受けたのは、去年10月30日のこと。DBJグループは「成長戦略支援のための付加価値創造エクイティ投資(VG投資プログラム)」の一環として、同TOBに基づいた同社の企業価値向上のための中長期的な成長戦略と諸施策を提案した。
同社は、自動車向けゴムおよび合成樹脂製品の製造販売を中心とした事業活動を展開しており、主力製品である車体シール部品を中心として、供給先である自動車メーカーとの歴年の取引実績に培われた強固な事業基盤を有している。
自動車市場は、新興国を中心とする自動車需要の高まりを背景に、中長期的な拡大が見込まれている。同社では、グローバル・サプライヤーを取りまく環境は今後3~5年で大きく転換すると予想し、世界の市場でさらに成長するためには、グローバルに対応した営業体制の構築、経営管理基盤・ITインフラの強化、欧州における生産拠点の確保などの成長戦略が必要と認識していた。
同社では、同TOBに応じることで、DBJグループが持つ人的リソース、M&A・投資案件の経験・スキル、経営管理・人事体制のノウハウ、豊富な資金力を有効に活用しながら、今後の成長戦略を実行することが可能との判断に至った。
その一方で、これらの施策は、効果が業績に反映されるまでに中長期の時間を要する可能性があり、短期的には財務状況が悪化するリスクも存在する。そのため、同社では一般株主のリスク負担を回避し、意思決定のスピードアップを図るため、同社を非公開化し、子会社としてDBJグループの一員になることを含め、同TOBに賛同する旨の意見を表明したもの。
現在、同社の筆頭株主は日産
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