JSRは2016年度入社式を開催した。
新入社員に対して、小柴満信社長のあいさつは以下の通り。
新入社員の顔を見ると、特別な緊張感と爽快感を感じる。
当社が関わる業界では昨年以降、原油価格の急落、それによる資源関連企業の業績変動、世界的に進む企業再編、中国巨大マネーの最先端半導体企業への投資の動き、台湾企業による日本の家電メーカーの買収など、大きなニュースが飛び交っており、皆さんも気にかかっていたことと思う。 当社のみならず世界の産業界は景気の大波の中に漂い、世界的な金融緩和の下、大きく変動する原油・原料価格や為替レートに操られて、今後の企業業績が読みづらい状況になっている。中東情勢は混迷し、EUは難民問題に翻弄され大規模テロの脅威に晒されており、東アジアにも不安定な要素がある。
2001年9月11日の同時テロ後、圧倒的な力を持つ国がいないGゼロの世界となった。2008年のリーマンショック後に世界の主要国は一斉に金融緩和に走った。昨年、米国が利上げを行い、いよいよ世界的な景気回復かと思われたが、地政学的なリスクが顕在化して先行きを混沌とさせている。
それに加えて、ビッグデータ、IoT、AIなどデジタル技術やインターネットの発達により仮想社会の存在感が高まるなど、今までにない変化がものすごいスピードで起きている。
原油価格の大きな変動や中国など新興国経済のもたつきは、こうした大きな社会構造の変化の一つの側面にすぎない。
一つ覚えておいてほしいのは、今後、産業や社会の構造的な変化が起こり、それによって企業の在り方、個人の価値観、企業と個人の関係が大きく変わっていくだろうということだ。
私が若い皆さんに期待するのは、多様な価値観、固定観念にとらわれない自由な発想、そしてデジタルネイティブ世代の吸収力と柔軟性だ。入社して数年は、今までの社会構造や産業構造が続くと思うが、旧世代の社会人と異なった個性、価値観、世界観を大切にしてほしい。
最後に職場の安全について触れておきたい。一歩間違えれば重篤な労働災害に巻き込まれるのが製造現場だ。労働災害は、本人だけでなく、大切な家族や友人まで一瞬にして不幸にしてしまう。
職場の安全は企業活動の大前提だ。我々は安全に出社し安全に家に帰る「当たり前の幸せ」のために、労働災害撲滅の活動を全社で進めている。 皆さんはどんな職場で働いたとしても、グローバルに活躍する「製造業」であるJSRの社員だ。そのプライドと責任をもって、最後は自分の身は自分で守るということを肝に銘じ、ずっと元気で活躍してくれることを願っている。
今後の皆さんの安全を祈念して唱和しよう。「ご安全に!」